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第四章 都市計画事業
第一節 都市計画事業の認可等
施行者
第五十九条 都市計画事業は、市町村が、都道府県知事(第一号法定受託事務として施行する場合にあつては、国土交通大臣)の認可を受けて施行する。
2 都道府県は、市町村が施行することが困難又は不適当な場合その他特別な事情がある場合においては、国土交通大臣の認可を受けて、都市計画事業を施行することができる。
3 国の機関は、国土交通大臣の承認を受けて、国の利害に重大な関係を有する都市計画事業を施行することができる。
4 国の機関、都道府県及び市町村以外の者は、事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においてこれらの処分を受けているとき、その他特別な事情がある場合においては、都道府県知事の認可を受けて、都市計画事業を施行することができる。
5 都道府県知事は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の長の意見をきかなければならない。
6 国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項から第四項までの規定による認可又は承認をしようとする場合において、当該都市計画事業が、用排水施設その他農用地の保全若しくは利用上必要な公共の用に供する施設を廃止し、若しくは変更するものであるとき、又はこれらの施設の管理、新設若しくは改良に係る土地改良事業計画に影響を及ぼすおそれがあるものであるときは、当該都市計画事業について、当該施設を管理する者又は当該土地改良事業計画による事業を行う者の意見をきかなければならない。ただし、政令で定める軽易なものについては、この限りでない。
7 施行予定者が定められている都市計画に係る都市計画施設の整備に関する事業及び市街地開発事業は、その定められている者でなければ、施行することができない。
認可又は承認の申請
第六十条 前条の認可又は承認を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
一 施行者の名称
二 都市計画事業の種類
三 事業計画
四 その他国土交通省令で定める事項
2 前項第三号の事業計画には、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 収用又は使用の別を明らかにした事業地(都市計画事業を施行する土地をいう。以下同じ。)
二 設計の概要
三 事業施行期間
3 第一項の申請書には、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる書類を添附しなければならない。
一 事業地を表示する図面
二 設計の概要を表示する図書
三 資金計画書
四 事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があつたことを証明する書類又は当該行政機関の意見書
五 その他国土交通省令で定める図書
4 第十四条第二項の規定は、第二項第一号及び前項第一号の事業地の表示について準用する。
認可又は承認の申請の義務等
第六十条の二 施行予定者は、当該都市施設又は市街地開発事業に関する都市計画についての第二十条第一項の規定による告示(施行予定者が定められていない都市計画がその変更により施行予定者が定められているものとなつた場合にあつては、当該都市計画についての第二十一条第二項において準用する第二十条第一項の規定による告示)の日から起算して二年以内に、当該都市計画施設の整備に関する事業又は市街地開発事業について第五十九条の認可又は承認の申請をしなければならない。
2 前項の期間内に同項の認可又は承認の申請がされなかつた場合においては、国土交通大臣又は都道府県知事は、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
損失の補償
第六十条の三 前条第二項の規定による公告があつた場合において、当該都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内の土地の所有者又は関係人のうちに当該都市計画が定められたことにより損失を受けた者があるときは、当該施行予定者は、その損失を補償しなければならない。
2 第五十二条の五第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。
認可等の基準
第六十一条 国土交通大臣又は都道府県知事は、申請手続が法令に違反せず、かつ、申請に係る事業が次の各号に該当するときは、第五十九条の認可又は承認をすることができる。
一 事業の内容が都市計画に適合し、かつ、事業施行期間が適切であること。
二 事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があつたこと又はこれらの処分がされることが確実であること。
都市計画事業の認可等の告示
第六十二条 国土交通大臣又は都道府県知事は、第五十九条の認可又は承認をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、施行者の名称、都市計画事業の種類、事業施行期間及び事業地を告示し、かつ、国土交通大臣にあつては関係都道府県知事及び関係市町村長に、都道府県知事にあつては国土交通大臣及び関係市町村長に、第六十条第三項第一号及び第二号に掲げる図書の写しを送付しなければならない。
2 市町村長は、前項の告示に係る事業施行期間の終了の日又は第六十九条の規定により適用される土地収用法第三十条の二の規定により準用される同法第三十条第二項の通知を受ける日まで、国土交通省令で定めるところにより、前項の図書の写しを当該市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない。
事業計画の変更
第六十三条 第六十条第一項第三号の事業計画を変更しようとする者は、国の機関にあつては国土交通大臣の承認を、都道府県及び第一号法定受託事務として施行する市町村にあつては国土交通大臣の認可を、その他の者にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。ただし、設計の概要について国土交通省令で定める軽易な変更をしようとするときは、この限りでない。
2 第五十九条第六項、第六十条及び前二条の規定は、前項の認可又は承認について準用する。
認可に基づく地位の承継
第六十四条 第五十九条第四項の認可に基づく地位は、相続その他の一般承継による場合のほか、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の承認を受けて承継することができる。
2 第五十九条第四項の認可に基づく地位が承継された場合においては、この法律又はこの法律に基づく命令の規定により被承継人がした処分、手続その他の行為は、承継人がしたものとみなし、被承継人に対してした処分、手続その他の行為は、承継人に対してしたものとみなす。
第二節 都市計画事業の施行
建築等の制限
第六十五条 第六十二条第一項の規定による告示又は新たな事業地の編入に係る第六十三条第二項において準用する第六十二条第一項の規定による告示があつた後においては、当該事業地内において、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物の建築その他工作物の建設を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行おうとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければならない。
2 都道府県知事等は、前項の許可の申請があつた場合において、その許可を与えようとするときは、あらかじめ、施行者の意見を聴かなければならない。
3 第五十二条の二第二項の規定は、第一項の規定による許可について準用する。
事業の施行について周知させるための措置
第六十六条 前条第一項に規定する告示があつたときは、施行者は、すみやかに、国土交通省令で定める事項を公告するとともに、国土交通省令で定めるところにより、事業地内の土地建物等の有償譲渡について、次条の規定による制限があることを関係権利者に周知させるため必要な措置を講じ、かつ、自己が施行する都市計画事業の概要について、事業地及びその附近地の住民に説明し、これらの者から意見を聴取する等の措置を講ずることにより、事業の施行についてこれらの者の協力が得られるように努めなければならない。
土地建物等の先買い
第六十七条 前条の公告の日の翌日から起算して十日を経過した後に事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、当該土地建物等、その予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積もつた額。以下この条において同じ。)及び当該土地建物等を譲り渡そうとする相手方その他国土交通省令で定める事項を書面で施行者に届け出なければならない。ただし、当該土地建物等の全部又は一部が文化財保護法第四十六条(同法第八十三条において準用する場合を含む。)の規定の適用を受けるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定による届出があつた後三十日以内に施行者が届出をした者に対し届出に係る土地建物等を買い取るべき旨の通知をしたときは、当該土地建物等について、施行者と届出をした者との間に届出書に記載された予定対価の額に相当する代金で、売買が成立したものとみなす。
3 第一項の届出をした者は、前項の期間(その期間内に施行者が届出に係る土地建物等を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、当該土地建物等を譲り渡してはならない。
土地の買取請求
第六十八条 事業地内の土地で、次条の規定により適用される土地収用法第三十一条の規定により収用の手続が保留されているものの所有者は、施行者に対し、国土交通省令で定めるところにより、当該土地を時価で買い取るべきことを請求することができる。ただし、当該土地が他人の権利の目的となつているとき、及び当該土地に建築物その他の工作物又は立木に関する法律第一条第一項に規定する立木があるときは、この限りでない。
2 前項の規定により買い取るべき土地の価額は、施行者と土地の所有者とが協議して定める。
3 第二十八条第三項の規定は、前項の場合について準用する。
都市計画事業のための土地等の収用又は使用
第六十九条 都市計画事業については、これを土地収用法第三条各号の一に規定する事業に該当するものとみなし、同法の規定を適用する。
第七十条 都市計画事業については、土地収用法第二十条(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定は行なわず、第五十九条の規定による認可又は承認をもつてこれに代えるものとし、第六十二条第一項の規定による告示をもつて同法第二十六条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示とみなす。
2 事業計画を変更して新たに事業地に編入した土地については、前項中「第五十九条」とあるのは「第六十三条第一項」と、「第六十二条第一項」とあるのは「第六十三条第二項において準用する第六十二条第一項」とする。
第七十一条 都市計画事業については、土地収用法第二十九条及び第三十四条の六(同法第百三十八条第一項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定は適用せず、同法第二十九条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により事業の認定が効力を失うべき理由に該当する理由があるときは、前条第一項の規定にかかわらず、その理由の生じた時に同法第二十六条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつたものとみなして、同法第八条第三項、第三十五条第一項、第三十六条第一項、第三十九条第一項、第四十六条の二第一項、第七十一条(これを準用し、又はその例による場合を含む。)及び第八十九条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を適用する。
2 権利取得裁決があつた後、第六十二条第一項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による告示に係る事業施行期間を経過するまでに明渡裁決の申立てがないときは、その期間を経過した時に、すでにされた裁決手続開始の決定及び権利取得裁決は、取り消されたものとみなす。
第七十二条 施行者は、第六十九条の規定により適用される土地収用法第三十一条の規定によつて収用又は使用の手続を保留しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、第五十九条又は第六十三条第一項の規定による認可又は承認を受けようとする際、その旨及び手続を保留する事業地の範囲を記載した申立書を提出しなければならない。この場合においては、第六十条第三項第一号(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる図面に手続を保留する事業地の範囲を表示しなければならない。
2 第十四条第二項の規定は、前項の規定による事業地の範囲の表示について準用する。
3 国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項の申立てがあつたときは、第六十二条第一項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による告示の際、あわせて、事業の認可又は承認後の収用又は使用の手続が保留される旨及び手続が保留される事業地の範囲を告示しなければならない。
第七十三条 前四条に定めるもののほか、都市計画事業に対する土地収用法の適用に関しては、次の各号に定めるところによる。
一 土地収用法第二十八条の三(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)及び第百四十二条の規定は適用せず、同法第八十九条第三項中「第二十八条の三第一項」とあるのは、「都市計画法第六十五条第一項」とする。
二 土地収用法第三十四条及び第百条第二項後段に定める期間の終期は、第六十二条第一項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による告示に係る事業施行期間の経過の時とする。
三 土地収用法第三十四条の四第二項中「第二十六条の二第二項の図面」とあるのは、「都市計画法第六十二条第二項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の図書」とする。
四 土地収用法第九十二条第一項中「第二十九条若しくは第三十四条の六の規定によつて事業の認定が失効し」とあるのは、「第三十九条第一項の規定による収用又は使用の裁決の申請の期限を徒過し」とする。
五 土地収用法第百三十九条の四中「この法律」とあるのは「都市計画法第六十九条の規定により適用されるこの法律」と、「第十七条第一項各号に掲げる事業又は第二十七条第二項若しくは第四項の規定により国土交通大臣の事業の認定を受けた事業」とあるのは「都市計画法第五十九条第一項若しくは第二項の規定による国土交通大臣の認可又は同条第三項の規定による国土交通大臣の承認を受けた都市計画事業」と、「第十七条第二項に規定する事業(第二十七条第二項又は第四項の規定により国土交通大臣の事業の認定を受けた事業を除く。)」とあるのは「都市計画法第五十九条第一項又は第四項の規定による都道府県知事の認可を受けた都市計画事業」と、同条第一号中「第二十五条第二項、第二十八条の三第一項」とあるのは「第二十五条第二項」とする。
生活再建のための措置
第七十四条 都市計画事業の施行に必要な土地等を提供したため生活の基礎を失うこととなる者は、その受ける補償と相まつて実施されることを必要とする場合においては、生活再建のための措置で次の各号に掲げるものの実施のあつせんを施行者に申し出ることができる。
一 宅地、開発して農地とすることが適当な土地その他の土地の取得に関すること。
二 住宅、店舗その他の建物の取得に関すること。
三 職業の紹介、指導又は訓練に関すること。
2 施行者は、前項の規定による申出があつた場合においては、事情の許す限り、当該申出に係る措置を講ずるように努めるものとする。
受益者負担金
第七十五条 国、都道府県又は市町村は、都市計画事業によつて著しく利益を受ける者があるときは、その利益を受ける限度において、当該事業に要する費用の一部を当該利益を受ける者に負担させることができる。
2 前項の場合において、その負担金の徴収を受ける者の範囲及び徴収方法については、国が負担させるものにあつては政令で、都道府県又は市町村が負担させるものにあつては当該都道府県又は市町村の条例で定める。
3 前二項の規定による受益者負担金(以下この条において「負担金」という。)を納付しない者があるときは、国、都道府県又は市町村(以下この条において「国等」という。)は、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。
4 前項の場合においては、国等は、政令(都道府県又は市町村にあつては、条例)で定めるところにより、年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した額をこえない範囲内の延滞金を徴収することができる。
5 第三項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しない場合においては、国等は、国税滞納処分の例により、前二項に規定する負担金及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
6 延滞金は、負担金に先だつものとする。
7 負担金及び延滞金を徴収する権利は、これらを行使することができる時から五年間行使しないときは、時効により消滅する。