「特定賃貸借契約の締結の勧誘をするに際し」について

特定賃貸借契約の相手方となろうとする者がいまだ契約締結の意思決定をしていないときに、特定転貸事業者又は勧誘者が、当該者と特定賃貸借契約を締結することを目的として、又は当該者に契約を締結させる意図の下に働きかけることをいうものとする。なお、当該者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについて事実の不告知・不実告知があれば足り、実際に契約が締結されたか否かは問わない。

「解除を妨げるため」について

特定賃貸借契約の相手方の特定賃貸借契約を解除する意思を翻させたり、断念させたりするほか、契約の解除の期限を徒過するよう仕向けたり、協力しない等、その実現を阻止する目的又は意図の下に行うことをいうものとする。なお、実際に特定賃貸借契約の相手方が契約解除を妨げられたか否かは問わない。

「特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」について

特定転貸事業者が特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃の額等の賃貸の条件やその変更に関する事項、特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の内容及び実施方法、契約期間に発生する維持保全、長期修繕等の費用負担に関する事項、契約の更新又は解除に関する事項等、当該事項を告げない、又は事実と違うことを告げることで、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者(以下「相手方等」という。)の不利益に直結するものをいうものとする。

「故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」について

「故意に事実を告げず」とは、事実を認識しているにもかかわらず、あえてこれを告げない行為をいうものとする。「故意に不実のことを告げる行為」とは、事実でないことを認識していながらあえて事実に反することを告げる行為をいうものとする。ここで、「故意」については、内心の心理状態を示す主観的要件であるが、客観的事実によって推認されることとなるほか、特定転貸事業者であれば当然に知っていると思われる事項を告げないような場合については、故意の存在が推認されることになると考えられる。

「特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の保護に欠けるもの」について

(1)「特定賃貸借契約を締結若しくは更新させ、又は特定賃貸借契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者を威迫する行為」について(規則第44条第1号関係)

「威迫する行為」とは、脅迫とは異なり、相手方等に恐怖心を生じさせるまでは要しないが、相手方等に不安の念を抱かせる行為をいうものとする。

(2)「特定賃貸借契約の締結又は更新について相手方等に迷惑を覚えさせるような時間に電話又は訪問により勧誘する行為」について(規則第44条第2号関係)

「迷惑を覚えさせるような時間」とは、相手方等の職業や生活習慣等に応じ、個別に判断するものとする。一般的には、相手方等に承諾を得ている場合を除き、特段の理由が無く、午後9時から午前8時までの時間帯に電話勧誘又は訪問勧誘を行うことは、本号が規定する勧誘に該当する。

(3)「特定賃貸借契約の締結又は更新について深夜又は長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法により相手方等を困惑させる行為」について(規則第44条第3号関係)

「その者を困惑させる行為」とは、個別事案ごとに判断されるものであるが、深夜勧誘や長時間勧誘のほか、例えば、相手方等が勤務時間中であることを知りながら執ような勧誘を行って相手方等を困惑させることや面会を強要して相手方等を困惑させる行為などが該当する。

(4)「特定賃貸借契約の締結又は更新をしない旨の意思を表示した相手方等に対して執ように勧誘する行為」について(規則第44条第4号関係)

「契約の締結又は更新をしない旨の意思」は、口頭であるか、書面であるかを問わず、契約の締結又は更新の意思がないことを明示的に示すものが該当する。また、相手方等が特定賃貸借契約を締結等しない旨の意思表示を行った場合には、引き続き勧誘を行うことのみならず、その後、改めて勧誘を行うことも「勧誘を継続すること」に該当するので禁止される。同一のサブリース業者の他の担当者による勧誘も同様に禁止される。
「執ように勧誘する行為」とは、電話勧誘又は訪問勧誘などの勧誘方法、自宅又は会社などの勧誘場所の如何にかかわらず、相手方等が特定賃貸借契約の締結又は更新をしない旨を意思表示した以降、又は勧誘行為そのものを拒否する旨の意思表示をした以降、再度勧誘することをいい、一度でも再勧誘を行えば本号違反となる。

おすすめの記事