新たな不動産業ビジョンの必要性

○ 不動産業は、我が国の豊かな国民生活、経済成長等を支える重要な基幹産業であり、人口減少、AI・IoT等の進展など社会経済情勢の急速な変化が見込まれる次の10年においても、引き続き、成長産業としての発展が期待不動産業のあるべき将来像や目標を認識しされる。

○ そのためには、不動産業に携わるすべてのプレーヤーがなり必要な取組を推進することが不可欠。官民一体となり必要な取組を推進することが不可欠。

○ 平成の時代から令和の時代を迎えつつあるこの機をとらえ、次なる時代における不動産業の発展を確保するための官民共通の指針として、およそ四半世紀ぶりに『不動産業ビジョン』を策定する。

不動産業を取り巻く市場環境の変化

社会経済情勢の変化

少子高齢化・人口減少の進展
空き家・空き地等の遊休不動産の増加・既存ストックの老朽化
新技術の活用・浸透
働き方改革の進展
グローバル化の進展
インフラ整備の進展による国土構造の変化
地球環境問題の制約
健康志向の高まり
自然災害の脅威

不動産市場の変化

消費者ニーズの変化
企業ニーズの変化
投資家ニーズの変化

これからの不動産業ビジョン

【本ビジョン全体を通じた基本コンセプト】
■ 人口減少・少子高齢化など社会経済情勢が急速に変化する状況下においては、次の2点が重要。
①時代の要請や地域のニーズを踏まえた不動産を形成
② それら不動産の活用を通じて、個人・企業・社会にとっての価値創造の最大化=『不動産最適活用』を図ること
■ これからの不動産業は、『不動産最適活用実現』をサポートしていくことが必要。

不動産業の将来像

不動産業が目指すべき将来像として、次の3点を設定。
豊かな住生活を支える産業

我が国の持続的成長を支える産業

人々の交流の「場」を支える産業

官民共通の目標

上記将来像を実現する上での官民共通の目標として、次の7点を設定。

「ストック型社会」の実現
・既存住宅市場の活性化、空き家等の最大限の活用に加え、不動産の「たたみ方」にも配慮を
・新規供給は、後世に承継できる良質なものを

安全・安心な不動産取引の実現
・安全・安心な不動産取引こそすべての基礎
・宅建業法など制度の適正な運用徹底を
・高齢化、グローバル化等に対応した紛争防止を

多様なライフスタイル・地方創生の実現
・技術革新により場所制約が緩やかになっているため、一時的でも地方を拠点とした活動展開の検討を
・地域資源の活用など、関係者による積極的な議論を

エリア価値の向上
・地域ニーズを掘り起こし、不動産最適活用を通じて、エリア価値、不動産価値の相乗的な向上を

新たな需要の創造
・高齢化、外国人対応など新たなニーズの確実な取り込みを
・複数不動産の所有・活用促進を

すべての人が安心して暮らせる住まいの確保
・単身高齢者、外国人、子育て世帯などすべての人が安心して暮らせる住まいとサービスを

不動産教育・研究の充実
・不動産に対する国民の理解促進に向け様々な機会を通じた不動産教育の充実を

民の役割

他業種連携によるトータルサービス提供
AI、IoT等新技術の有効活用
業界の魅力度向上による人材確保
法令遵守・コンプライアンス徹底による信頼産業としての地位確立

官の役割

官民共通の目標を実現するために求められる官の役割を以下のとおり整理のうえ、今後10年程度の間に重点的に検討すべき具体的な政策課題を整理。

市場環境整備
社会ニーズの変化を踏まえた不動産政策の展開
不動産業に対する適切な指導・監督

今後重点的に検討すべき政策課題(例)
○ 賃貸住宅管理業者登録制度の法制化
○ 不動産の「たたみ方」などの出口戦略のあり方
○ マンション管理の適正化、老朽ストックの再生
○ 心理的瑕疵を巡る課題の解決
○ 不動産関連情報基盤の充実
○ 高齢者、外国人等による円滑な不動産取引の実現方策
○ 国民向け不動産教育の推進
○ 産・学・官連携による不動産政策研究の推進
○ 円滑な事業承継のあり方
○ ESGに即した不動産投資の推進方策
○ 不動産業分野における新技術の活用方策
○ 宅地建物取引士、インスペクションなど現行制度の検証
○ 不動産情報オープン化と個人情報保護の関係整理

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