建築基準法のかたち
法令上の制限の目的は土地・建物の有効利用の実現にあります。
このような見地から、建築基準法を設け、建築について制限を課すことにしました。
- 道路規制
接道義務 - 用途規制
①建蔽率
②容積率
③高さ制限 - 形態規制
- 防火・準防火地域内での規制
主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)
軒高は、一般に地盤面から軒桁の上端までをいいます。これに対して、高さは原則として、地盤面か
ら建物の最も高い部分までの高さをいいます。従って通常は、軒高<高さとなります。
単体規定
個々の建物の構造上、防火上、衛生上の安全を確保するための規定。
敷地の衛生・安全
- 建築物の敷地はこれに接する道の境より高くなければなりません
(排水・湿気があるため)。 - 建築物の地盤面はこれに接する周囲の土地より高くなければなりません
(同上)。
建築物の安全
- 建築物は、自重・積載荷重・積雪荷重・風圧・土圧および水圧並びに地震その他の震動
および衝撃に対して安全な構造でなければなりません。 - 下記の建築物については、一定の構造計算によって確認された安全性を有しなければな
りません。
⑴ 高さが60mを超える建築物
⑵ 木造で、階数が3 以上、または延べ面積が500㎡を超え、または高さが13m を超
え、もしくは軒の高さが9mを超える建築物
⑶ 木造以外で、階数が2以上または延べ面積が200㎡を超える建築物
⑷ 主要構造部(床、屋根、階段を除く)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、
無筋コンクリート造その他これらに類する構造とした建築物で、高さが13m を超え
または軒の高さが9mを超える建築物
※主要構造部…壁・柱・床・はり・屋根・階段をいう
建築物の設備
- 高さ20mを超える建築物には、原則として避雷設備を設けなければなりません。
- 高さ31mを超える建築物には、原則として非常用の昇降機(エレベーター)を設けなけ
ればなりません。 - 高さ31m以下の部分にある3階以上の階には、非常用の進入口を設けなければなりませ
ん。
建築物の衛生
- 住宅、学校、病院等の居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室等これらに類
する一定のものに限る)には、その床面積に対して、原則として一定割合以上の採光の
ための窓その他の開口部を設けなければなりません。
⑴ 採光のため… 住宅の居室 ➡ 1/7以上
住宅以外 ➡ 1/5~1/10で定める割合以上
⑵ 換気のため…1/20以上 - 住宅の居室・学校の教室・病院の病室・寄宿舎の寝室で地階に設けるものは、壁および
床の防湿の措置その他の事項について衛生上必要な政令で定める技術的基準に適合する
ものとしなければなりません。 - 建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散または発散による衛生上の支障がな
いよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければなりません。
⑴ 建築材料に石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定める物質を添加しな
いこと。
⑵ 石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散または発散させるおそれがない
ものとして国土交通大臣が定めたものまたは国土交通大臣の認定を受けたものを除
く)を使用しないこと。
⑶ 居室を有する建築物にあっては、⑴⑵に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその
居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区
分に応じ、建築材料および換気設備について政令で定める技術的基準に適合するこ
と。
その他
- 地方公共団体は、条例で、津波・高潮・出水等による危険の著しい区域を災害危険区域
として指定することができます。 - 地方公共団体は、条例により、建築基準法の単体規定より厳しい制限を附加することが
できます。また、市町村は、国土交通大臣の承認を得て、区域を限って条例で制限を緩
和できます。
接道義務
建物の敷地が道路に接していなければ、日常の通行や、火災の際の避難の場合大変です。そこ
で、建物の敷地は道路に接していることが要求されています。
原則
- 都市計画区域・準都市計画区域内においては
建築物の敷地は下記の道路に
⑴ 幅員4m以上で、かつ、以下の要件を備えることが必要。
⒜ 道路法による道路(例 国道・都道府県道・市区町村道)
⒝ 都市計画法・土地区画整理法・都市再開発法等の法律により作られた道路
⒞ 建築基準法が施行された時点、または都市計画区域、準都市計画区域に入った時
点で現に存在する道路
⒟ 公道として、2年以内に作られる予定のものとして特定行政庁が指定したもの
⒠ 私道で、かつ、一定の基準に適合するもので、特定行政庁からその位置の指定を
受けたもの
⑵ 自動車専用道路はここでいう道路に含まれません。
自動車専用道路では避難の場所となりえないため。
⑶ 特定行政庁がその地方の気候もしくは風土の特殊性または土地の状況により必要と認
めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては幅員6m 以上でな
ければなりません。 - 2m以上接しなければなりません。
例外
- 幅員4m未満の道路でも以下の要件をみたしていれば道路とみなされます。
⑴ 建築基準法が施行された時点、または都市計画区域、準都市計画区域に入った時点で
⑵ すでに建築物が建ち並んでいるもののうち
⑶ 特定行政庁の指定のあるもの
この場合、道路の中心線から水平距離2mの線を道路の境界線とみなします。よって
以後この内側に建物を建築できません。境界線の一方が川・崖等で、結局4m にみた
ない場合は、崖等の側の境界線から水平距離4mの線を道路の境界線とみなします。
4m 未満の道は、都市計画区域内でも多数あり、それにもかかわらず、常に4m
以上の道路に接していなければ建築物を建築できないとするのでは、現実問題
として妥当ではないので、一定の場合、例外を認めました。但し、この場合、
今後は最低4m の幅をあけないと、建物を建築できません(セット・バック)。 - 原則3⑶の場合、幅員6m 未満の道路でも一定の条件をみたし、かつ、特定行政庁の指
定があれば、道路とみなされます。この場合、以降1と同様の処理がなされます(但し、
中心線より3m)。 - 地方公共団体は条例により制限を付加できます。 例 3m以上(×緩和できる)
地域には、それぞれの特殊性があるから。 - 敷地の周囲に広い空地を有する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛
生上支障がないと認めて、建築審査会の同意を得て許可したもの。
このような場合、安全対策上問題がないから。 - 敷地が農道その他これに類する公共の用に供する道(幅員4m 以上)に2m 以上接する
建築物で一定の基準に適合し、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障が
ないと認めるもの。
その他
-
- 私道の変更または廃止によって、建物の敷地が道路に2m 以上接しなくなる場合には、
特定行政庁はその私道の変更または廃止を禁止または制限できます。
- 私道の変更または廃止によって、建物の敷地が道路に2m 以上接しなくなる場合には、
-
- 原則として道路内には建築物を建築してはいけません(道路内における建築制限)。
ただし、道路内であっても、
⑴ 地下に設ける建物
⑵ 公衆便所や巡査派出所等の公益上必要な建物で、特定行政庁が通行上支障がないと認
めて建築審査会の同意を得て許可したもの
⑶ 公共用歩廊その他政令で定める建築物で特定行政庁が安全上、防火上および衛生上、
他の建築物の利便を妨げ、その他周囲の環境を害するおそれがないと認めて建築審査
会の同意を得て許可したもの
等は、例外的に建築し、または築造することができます。
- 原則として道路内には建築物を建築してはいけません(道路内における建築制限)。