物件の仕入─ 媒介・代理契約の規制

媒介と代理の違い

① 媒 介
売主(貸主)と買主(借主)の間に入り依頼を受けて契約を成立させる行為。
契約を結ぶ権限はありません。

② 代 理
売主(貸主)または、買主(借主)の依頼を受けて、相手方と契約し、その効果が依頼者に帰属する関係。契約を結ぶ権限があります。

契約のタイプ

一般媒介契約専任媒介契約専属専任
媒介契約
依頼者の義務他の業者に
重ねて依頼
できるか?

重ねて依頼する業者を明示する義務がある契約とない契約があります
(明示型と非明示型)
××
自己発見
取引は
できるか?
×
したら
違約金請求
有効期間な し3カ月以内
3 カ月を超える定めをしても無効
で3カ月となります
③ 更新可能。但し、依頼者の申出
ある場合に限られ、さらにその期
間は3カ月以内
自動的に更新させることは不可
あらかじめ承諾があっても更新不可
業務処理状況の
報告義務
な し2週間に
1回以上
(休業日を含む)
1週間に
1回以上

(休業日を含む)
業法上は口頭でOK だが、約款では書面によることが義務づけられています
契約の相手方を
探索する義務
な しあ りあ り
契約の相手方の探索方法い つなし契約締結の日
から7日以内
(休業日を除く)
契約締結の日
から5日以内
(休業日を除く)
どこで指定流通機構
(レインズシステム)で
どのように① 業者が指定流通機構に物件につい
ての下記事項を登録
⑴ 所在  ⑵ 規模  ⑶ 形質
⑷ 売買すべき価額
⑸ 交換の場合、評価額
⑹ 法令上の制限
⑺ 専属専任媒介の場合、その旨

② 業者は登録を証する書面を遅滞な
く依頼者に引き渡します
③ 業者は契約が成立したとき、遅滞なく
⑴ 契約成立日
⑵ 取引価格
⑶ 登録番号

を指定流通機構に通知します
報告宅建業者は、当該媒介契約の目的物である宅地または建物の
売買または交換の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨
を依頼者に報告しなければなりません

書面化におけるルール

書面化が要求される取引の種類

  1. 宅地建物の売買・交換の媒介・代理契約に限られます。
  2. 貸借の媒介・代理契約には、書面化の義務はありません。
    理由:貸借は売買と異なり依頼者が物件を完全に手放してしまうことはないので、業務上
    トラブルは発生しにくいから。
  3. 専任媒介契約・専属専任媒介契約だけでなく、一般媒介契約でも書面化しなければなりません。

書面の作成者(誰が)

業者。たとえ、依頼人が業者であっても、書面の作成交付は必要。
×宅建取引士
理由:あくまで媒介契約は業者と依頼人との間で結ばれるものだから。

書面の作成時期(いつ)

売買・交換の媒介・代理契約を締結した後、遅滞なく作成し依頼人に交付します。

書面の作成方法(どのように)

作成した書面に業者が記名押印します。
※宅建取引士が記名押印する必要はない。

書面への記載事項(何を)
業者と依頼人との間のトラブルを未然に防止するのに必要な事項

宅地建物を特定するために必要な表示
売買すべき価額または評価額
業者による値付けの適正化を図るため。
※業者が価額または評価額について意見を述べる場合には、その根拠を明らかにする必要があります。但し、口頭でOK。
媒介・代理契約の型
既存建物の売買または交換の場合は、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項
報酬に関する事項
媒介・代理契約の有効期間
媒介・代理契約違反に対する措置
⑴ 解除に関する事項
⑵ 媒介・代理契約違反
国土交通大臣が定めた標準媒介契約約款に基づくか否か
指定流通機構への登録に関する事項

広告宣伝 ─ 取引態様の明示

業者と取引を行う場合には、その業者の取引態様によって取引の関係者における法律関係が異なってきます。それゆえ、消費者にとって業者がどんな取引態様であるかは重要な情報です。

明示すべき場合:
広告するとき
注文を受けたとき(その度に必要)

明示すべき内容:
        ① 当事者か
私(業者)は  ② 代理か
        ③ 媒介か
明示方法文書にする必要はありません。口頭可
違反すると業務停止処分

広告宣伝 ─ 誇大広告の禁止

誇大広告によって被害を受けるのは消費者です。そこで、業法は消費者保護のため、広告の仕
方に制限を加えました。

誰が:業者が
い つ:広告する際に
※ 広告とは、新聞・雑誌・看板・ポスター・折込・放送・ダイレクトメールなどをいいます。
何について:
物 件
 ⑴ 所在
 ⑵ 規模  例:2DK
 ⑶   例:宅地
環 境
        ⑴ 利用の制限     例:地役権
現在・将来の  ⑵ 環境        例:日照
        ⑶ 交通その他の利便  例:駅から5分
お 金
代金・借賃等の額・支払方法
代金または交換差金に関する金銭の貸借のあっせん
例:ローン条件
業法違反となるのは上記の8つだけです。

どのように:
著しく事実に相違する表示をしてはなりません
実際のものより著しく優良もしくは有利と誤認させるような表示をしてはなりません
「おとり広告」も当然ダメです
実際に、取引があったか否かにかかわりなく違反
たとえ相手が誇大広告であることを知っていても業法違反
 理由:④⑤は誇大広告をすること自体悪いという考え方。
その他宅地建物取引の表示に関する公正競争規約(不当景品類及び不当表示防止法の定めるところにより、公正取引委員会の認定を受けたものをいう)は、業者団体による自主規制基準ですが、宅建業法の誇大広告に関して、具体的な判断基準となる場合があります。

広告宣伝 ─ 広告開始時期の制限

対象物件:
① 造成予定の宅地
② 建築予定の建物

広告の開始できる時期:
① 開発行為の許可(都市計画法)が下りた後
② 建築確認(建築基準法)を受けた後
※これらの申請手続をしただけではダメ。

対象となる取引:宅建業に該当するすべての態様の取引について
違反した場合は指示処分

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