Contents
- 1 業務管理者
- 2 管理受託契約に係る重要事項説明等
- 2.1 管理受託契約の重要事項説明書に記載が必要な事項を教えてください。
- 2.2 管理受託契約の締結時書面に記載が必要な事項を教えてください。
- 2.3 管理受託契約に係る重要事項説明書と締結時書面を一体で交付することは可能ですか。
- 2.4 管理受託契約の重要事項説明はどのタイミングで行えばよいですか。
- 2.5 管理受託契約の重要事項説明及び書面交付、契約時締結書面の交付は業務管理者が行う必要がありますか。
- 2.6 管理受託契約の重要事項説明を行う際、資格者証や従業員証の提示は義務づけられていますか。
- 2.7 管理受託契約の重要事項説明を他の営業所の従業員、または出向先の社員等へ委託することはできますか。
- 2.8 管理受託契約の重要事項説明を契約の相手方の代理人に行うことは可能ですか。また、代理受任者の制限(親族に限る、業者は不可 等)はありますか。
- 2.9 管理受託契約の重要事項説明はITを用いることは可能ですか。
- 2.10 相手方からの承諾がある場合、電話やメールによる手段を用いて、重要事項説明を行うことは可能ですか。
- 2.11 管理受託契約の重要事項説明を行う必要がない契約の相手方はどのようなものが該当しますか。
- 2.12 契約期間中や契約更新時に管理受託契約の契約内容の変更があった場合、改めて、重要事項説明を行う必要がありますか。
- 2.13 契約期間中や契約更新時に管理受託契約の契約内容の変更があった場合、改めて、契約締結時書面の交付を行う必要がありますか。
- 2.14 法の施行前に締結された管理受託契約について、契約内容を変更しない場合であっても、法の施行後に改めて重要事項説明及び書面交付、契約締結時書面の交付を行う必要がありますか。
- 2.15 「管理業務の一部の再委託に関する事項」について、重要事項説明時から再委託先が変更となった場合、どのような対応を行えば良いですか。
- 2.16 管理受託契約の相手方である賃貸人が変わった場合、新しい賃貸人に対して、重要事項説明及び書面交付を行う必要がありますか。
- 3 賃貸住宅管理業者の義務
- 3.1 賃貸住宅管理業者にはどのような義務が課されますか。
- 3.2 法の施行前に締結された管理受託契約については、法の施行後にどのような規制が適用されますか。
- 3.3 どの程度の管理業務を委託することが再委託の禁止に該当しますか。
- 3.4 管理業務の再委託先について何らかの規制はありますか。
- 3.5 自己の保有する財産と入居者から受領した家賃、敷金、共益費その他の金銭はどのように分別管理を行えばよいですか。
- 3.6 入居者から受領した家賃等が一時的に賃貸住宅管理業者の固有財産を管理する口座に入金されている状態は許容されますか。
- 3.7 自己の保有する財産と入居者から受領した家賃、敷金、共益費その他の金銭を、口座を区分して管理する分別管理を行っていますが、オーナーが安心して管理業務を委託できるように、入居者から受領した家賃等に対して保全措置を講ずる場合にはどのような方法がありますか。
- 3.8 全ての従業員が従業者証明書を携帯する必要はありますか。
- 3.9 各営業所等に備え付ける必要のある帳簿にはどのような事項を記載すればよいですか。
- 3.10 標識に記載すべき事項はどのようなものがありますか。
- 3.11 営業所又は事務所ごとに掲示する必要のある標識は各事業者が自分で用意する必要がありますか。
- 3.12 法第19条の標識に記載する「登録番号」について、本法による登録番号が付与されるまでの間、告示に基づく賃貸住宅管理業者登録制度により付与されていた登録番号を暫定的に記載して掲示することは可能ですか。
- 3.13 賃貸人への定期報告は、どのような項目、頻度及び方法で行えばよいですか。
- 3.14 秘密保持義務が課される「従業者」は再委託先の従業員も含まれますか。
- 3.15 法施行前に締結された管理受託契約について、賃貸人への定期報告を行う必要はありますか。
業務管理者
「業務管理者」の役割とはどのようなものですか。
「業務管理者」は、賃貸住宅管理業者の営業所又は事務所において行われる管理業務の実施の適正性を確保し、管理受託契約に基づく管理業務が適切に履行されるよう、従業員の指導監督を行うために必要な知識及び経験を有する者であり、その業務の管理及び監督を行う役割を担っております。
「業務管理者」になるためにどのような要件及び手続きが必要となりますか。
「業務管理者」になるための要件として、管理業務の実務経験を2年以上(※)有し、かつ、登録証明事業による証明を受けている者であること、又は、管理業務の実務経験を2年以上有する宅地建物取引士で、管理業務の実務についての講習(指定講習)を修了した者であることが必要となります。施行後1年間(移行期間)については、賃貸不動産経営管理士で、一定の講習(移行講習)を修了した者についても、「登録証明事業による証明を受けている者」とみなされ、業務管理者の要件を満たすこととなります。
※管理業務の実務経験については、別途実務講習の修了等をもって代えることも可能です。
「業務管理者」になるためにどのような手続きが必要となりますか。
国土交通大臣による登録を受けた登録証明事業実施機関が発行する証明書又は国土交通大臣による指定を受けた講習実施機関が発行する講習修了証明書を地方整備局等への登録申請の際に提出いただければ、業務管理者として登録することが可能となります。
「業務管理者」は営業所又は事務所ごとに何名配置すればよいですか。
賃貸住宅管理に係る賃貸住宅の戸数、賃貸住宅管理を遂行する従業員の数は営業所又は事務所ごとに異なるため、賃貸住宅管理業者は、入居者の居住の安定の確保等の観点から、当該営業所又は事務所においてその従業員が行う管理業務等の質を担保するために必要な指導、管理、及び監督をし得るだけの数の業務管理者を配置することを推奨しております。
専任の宅地建物取引士が業務管理者として従事することはできますか。
業務管理者が宅地建物取引士も兼務する等他の業務を兼務することは法違反となるものではありませんが、入居者の居住の安定の確保等の観点か
ら賃貸住宅管理業者の従業員が行う管理業務等について必要な指導、管理、及び監督の業務に従事できる必要があります。なお、専任の宅地建物
取引士が業務管理者を兼ねる場合における宅地建物取引業法上の取扱いについては、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」をご参照下さ
い。
「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」について
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000268.html
ある店舗の業務管理者が一時的に他の店舗の業務管理者を兼務することはできますか。
業務管理者は、他の営業所又は事務所の業務管理者を兼務することはできません。
管理受託契約に係る重要事項説明等
管理受託契約の重要事項説明書に記載が必要な事項を教えてください。
管理受託契約の締結に際し、賃貸住宅管理業者が重要事項説明書に記載し、説明する必要がある事項は以下のとおりです。
(1)管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の商号、名称又は氏名並びに登録年月日及び登録番号
(2)管理業務の対象となる賃貸住宅
(3)管理業務の内容及び実施方法
(4)報酬の額並びにその支払の時期及び方法
(5)前号に掲げる報酬に含まれていない管理業務に関する費用であって、賃貸住宅管理業者が通常必要とするもの
(6)管理業務の一部の再委託に関する事項
(7)責任及び免責に関する事項
(8)法第二十条の規定による委託者への報告に関する事項
(9)契約期間に関する事項
(10)賃貸住宅の入居者に対する(3)に掲げる事項の周知に関する事項
(11)契約の更新及び解除に関する事項
管理受託契約の締結時書面に記載が必要な事項を教えてください。
管理受託契約の締結時に、賃貸住宅管理業者が交付しなければならない書面の記載事項は以下のとおりです。
(1)管理業務の対象となる賃貸住宅
(2)管理業務の実施方法
(3)契約期間に関する事項
(4)報酬に関する事項(報酬の額並びに支払の時期及び方法含む)
(5)契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
(6)管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の商号、名称又は氏名並びに登録年月日及び登録番号
(7)管理業務の内容
(8)管理業務の一部の再委託に関する定めがあるときは、その内容
(9)責任及び免責に関する定めがあるときは、その内容
(10)委託者への報告に関する事項(法第20条による規定)
(11)賃貸住宅の入居者に対する(2)及び(7)に掲げる事項の周知に関する事項
管理受託契約に係る重要事項説明書と締結時書面を一体で交付することは可能ですか。
管理受託契約の重要事項説明書は、契約締結に先立って交付する書面であり、管理受託契約の締結時の書面は交付するタイミングが異なる書面であることから、両書面を一体で交付することはできません。
管理受託契約の重要事項説明はどのタイミングで行えばよいですか。
管理受託契約に係る重要事項説明については、管理業務を委託しようとする賃貸住宅の賃貸人が契約内容を十分に理解した上で契約を締結できるよう、説明から契約締結までに1週間程度の期間をおくことを推奨しております。説明から契約締結までの期間を短くせざるを得ない場合には、事前に管理受託契約に係る重要事項説明書等を送付し、その送付から一定期間後に、説明を実施するなどして、管理受託契約を委託しようとする者が契約締結の判断を行うまでに十分な時間をとることを推奨しております。
管理受託契約の重要事項説明及び書面交付、契約時締結書面の交付は業務管理者が行う
必要がありますか。
管理受託契約に係る重要事項説明は、業務管理者によって行われることは必ずしも必要ではありませんが、重要事項について、正確な情報を適切に説明することで、賃貸住宅のオーナーが十分に理解をした上で契約締結の意思決定ができるよう、業務管理者や一定の実務経験を有する者など、管理業務に関する専門的な知識及び経験を有する者に説明を行わせることを推奨しております。
管理受託契約の重要事項説明を行う際、資格者証や従業員証の提示は義務づけられてい
ますか。
重要事項説明時における資格者証や従業員証の提示は義務付けられておりません。
管理受託契約の重要事項説明を他の営業所の従業員、または出向先の社員等へ委託する
ことはできますか。
重要事項説明は、管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の従業員が行う必要があるため、直接の契約当事者ではない他の営業所の従業員、出向先の社員等へ重要事項の説明を委託することはできません。
一方、賃貸住宅管理業者の使用人としての業務(重要事項説明)を出向元の指揮命令系統に服して行うこととしていることが確認できる「出向先及び出向労働者三者間の取決め」において、出向する者が出向元の重説業務を行い、出向元が指揮命令権を持つと明記されているのであれば可能です。
管理受託契約の重要事項説明を契約の相手方の代理人に行うことは可能ですか。
また、代理受任者の制限(親族に限る、業者は不可 等)はありますか。
原則的には、管理受託契約の相手方本人に対して説明を行う必要がありますが、契約の相手方本人の意思により、委任状等をもって代理権を付与された者に対し、重要事項説明を行った場合は当該説明をしたものと認められます。
しかし、賃貸住宅管理業者が管理受託契約の相手方に対して働きかけて契約の相手方にその代理人を紹介して選任させた上、当該代理人に対して重要事項説明を行ったような例外的な場合には、同条の趣旨に照らし、当該代理人が契約の相手方本人に対して当該説明をしたと評価することができる事情がない限り、賃貸住宅管理業者が「管理受託契約の相手方となろうとする者」に対して当該説明をしたとは認められません。
管理受託契約の重要事項説明はITを用いることは可能ですか。
賃貸住宅管理業者は、管理受託契約の相手方となろうとする者の承諾を得て、重要事項説明書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができますが、その際以下の点について留意してください。
①電磁的方法により提供する際の相手方の承諾を得ること。
②出力して書面を作成でき、改変が行われていないか確認できる状態にあること。(電子署名等の活用など)
③説明者及び重要事項の説明を受けようとする者が、図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること。
相手方からの承諾がある場合、電話やメールによる手段を用いて、重要事項説明を行う
ことは可能ですか。
新規契約の重要事項説明については、電話やメールによる手段での重要事項説明は認められません。ただし、管理受託契約変更契約(契約更新含む。以下同じ)の重要事項説明については、次に掲げるすべての事項を満たしている場合に限り、電話による説明をもって対面による説明と同様に取扱うものとします。
- 事前に管理受託契約変更契約の重要事項説明書等を送付し、その送付から一定期間後に説明を実施するなどして、賃貸人が変更契約締結の判断を行うまでに十分な時間をとること
- 賃貸人から賃貸住宅管理業者に対し、電話により管理受託契約変更契約の重要事項説明を行ってほしいとの依頼があること
- 賃貸人が、管理受託契約変更契約の重要事項説明書等を確認しながら説明を受けることができる状態にあることについて、賃貸住宅管理業者が重要事項説明を開始する前に確認していること
- 賃貸人が、電話による説明をもって当該管理受託契約変更契約の重要事項説明の内容を理解したことについて、賃貸住宅管理業者が重要事項説明を行った後に確認していること
なお、賃貸人から賃貸住宅管理業者に対し、電話により管理受託契約変更契約の重要事項説明を行ってほしいとの依頼があった場合であっても、賃貸人から、対面又はITの活用による説明を希望する旨の申出があったときは、当該方法により説明する必要があります。
管理受託契約の重要事項説明を行う必要がない契約の相手方はどのようなものが該当し
ますか。
管理受託契約の契約の相手方が賃貸住宅管理業者である者その他の管理受託契約に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者である場合、重要事項に係る書面交付及び説明は不要となります。具体的には以下の者が該当します。
①賃貸住宅管理業者
②特定転貸事業者
③宅地建物取引業者
④特定目的会社
⑤組合
⑥賃貸住宅に係る信託の受託者(委託者等が①~④までのいずれかに該当する場合に限る)
⑦独立行政法人都市再生機構
⑧地方住宅供給公社
契約期間中や契約更新時に管理受託契約の契約内容の変更があった場合、改めて、重要事項説明を行う必要がありますか。
契約期間中や契約更新時に規則第31条各号に掲げる事項を変更しようとするときは、変更のあった事項について、賃貸人に対して書面の交付を行った上で重要事項説明をする必要があります。
ただし、法施行前に締結された管理受託契約で、法施行後に規則第31条各号に掲げる全ての事項について重要事項説明を行っていない場合は、変更のあった事項のみならず規則第31条各号に掲げる全ての事項について重要事項説明を行う必要がありますのでご注意ください。
なお、契約の同一性を保ったままで契約期間のみを延長することや、組織運営に変更のない商号又は名称等の変更等、形式的な変更と認められる場合は、重要事項説明は行わないこととして差し支えありません。
契約期間中や契約更新時に管理受託契約の契約内容の変更があった場合、改めて、契約締結時書面の交付を行う必要がありますか。
契約期間中や契約更新時に規則第31条各号に掲げる事項の変更を内容とする契約を締結したときは、変更のあった事項について、賃貸人に対して契約締結時書面の交付を行う必要があります。
ただし、法施行前に締結された管理受託契約で、法施行後に法14条第1項各号規定の事項及び規則第35条に規定の全ての事項について契約締結時書面の交付を行っていない場合は、変更のあった事項のみならず法14条第1項各号規定の事項及び規則第35条に規定の全ての事項について契約締結時書面の交付を行う必要がありますのでご注意ください。
なお、契約の同一性を保ったままで契約期間のみを延長することや、組織運営に変更のない商号又は名称等の変更等、形式的な変更と認められる場合は、契約締結時書面の交付は行わないこととして差し支えありません。
法の施行前に締結された管理受託契約について、契約内容を変更しない場合であっても、法の施行後に改めて重要事項説明及び書面交付、契約締結時書面の交付を行う必要がありますか。
法の施行前に締結された管理受託契約について、契約内容を変更しない限りは、法の施行後に改めて重要事項説明等を行う必要はありません。
「管理業務の一部の再委託に関する事項」について、重要事項説明時から再委託先が変更となった場合、どのような対応を行えば良いですか。
再委託先の変更は形式的な変更と考えられるため、当該変更が生じた場合に改めて重要事項説明を実施する必要はありませんが、再委託先が変更する度ごとに書面又は電磁的方法により賃貸人に知らせる必要があります。
管理受託契約の相手方である賃貸人が変わった場合、新しい賃貸人に対して、重要事項説明及び書面交付を行う必要がありますか。
管理受託契約が締結されている賃貸住宅について、その契約期間中に相続やオーナーチェンジ等によって管理受託契約の相手方である賃貸人が変更された場合には、従前と同一の内容で当該管理受託契約が承継される場合であっても、賃貸住宅管理業者は、賃貸人の地位の移転を認識した後、遅滞なく、新たな管理受託契約の相手方である賃貸人に当該管理受託契約の内容が分かる書類を交付することが望ましいです。
なお、管理受託契約において委託者の地位承継にかかる特約が定められておらず、管理受託契約が承継されない場合、新たな賃貸人との管理委託契約は新たな契約と考えられるため、賃貸住宅管理業者は、新たな賃貸人に管理受託契約重要事項説明及び管理受託契約締結時書面の交付を行う必要があります。
賃貸住宅管理業者の義務
賃貸住宅管理業者にはどのような義務が課されますか。
賃貸住宅管理業者が遵守しなければならない義務は以下の事項が該当します。
- 登録義務(法第3条)
- 登録変更の届出(法第6条)
- 廃業等の届出(法第7条)
- 業務処理の原則(法第10条)
- 名義貸しの禁止(法第11条)
- 業務管理者の選任義務(法第12条)
- 管理受託契約の締結前の重要事項説明及び書面の交付義務(法第13条)
- 管理受託契約の締結時の書面の交付義務(法第14条)
- 管理業務の再委託の禁止(法第15条)
- 家賃、敷金等の分別管理義務(法第16条)
- 従業員等の証明書携帯義務(法第17条)
- 帳簿の備え付け義務(法第18条)
- 標識の掲示義務(法第19条)
- 委託者への定期報告義務(法第20条)
- 守秘義務(法第21条)
法の施行前に締結された管理受託契約については、法の施行後にどのような規制が適用されますか。
法施行前に締結された管理受託契約に基づいて管理業務を実施する際には、
- 管理業務の再委託の禁止(法第15条)
- 家賃、敷金等の分別管理義務(法第16条)
- 従業員等の証明書携帯義務(法第17条)
- 帳簿の備え付け義務(法第18条)
- 守秘義務(法第21条)の規定が適用されます。
一方で、 - 管理受託契約の締結時書面の交付(法第14条)
- 委託者への定期報告義務(法第20条)
の規定は適用されません(法附則第3条)。
どの程度の管理業務を委託することが再委託の禁止に該当しますか。
管理受託契約に管理業務の一部の再委託に関する定めがあるときは、自らで再委託先の指導監督を行うことにより、一部の再委託を行うことができますが、管理業務の全てについて他者に再委託すること、又は、管理業務を複数の者に分割して再委託して自ら管理業務を一切行わないことは、本法の規定に抵触します。なお、賃貸住宅の賃貸人のために当該維持保全に係る契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理を行う業務を行う場合も「賃貸住宅の維持保全を行う業務」に該当するため、賃貸住宅管理業者が直接的に当該業務を実施していない場合であっても本法の規定に抵触しません。
管理業務の再委託先について何らかの規制はありますか。
管理業務の再委託先は賃貸住宅管理業者である必要はありませんが、管理業務を委託した賃貸住宅の賃貸人と管理受託契約を締結した賃貸住宅管理業者が再委託先の業務の実施について責任を負うことになるため、登録拒否要件に該当しない事業者に再委託することが望ましく、また、再委託期間中は、賃貸住宅管理業者が責任をもって再委託先の指導監督を行うことが必要となります。なお、契約によらずに管理業務を自らの名義で他者に行わせる場合には、名義貸しに該当する場合があるため、再委託は契約を締結して行うことが必要となります。
自己の保有する財産と入居者から受領した家賃、敷金、共益費その他の金銭はどのように分別管理を行えばよいですか。
管理受託契約に基づく管理業務において受領する家賃、敷金、共益費その他の金銭(以下「家賃等」という。)を管理する口座と賃貸住宅管理業者の固有財産を管理する口座を別とした上で、管理受託契約毎に金銭の出入を区別した帳簿を作成する等により勘定上も分別管理する必要があります。
なお、管理受託契約に基づく管理業務において受領する家賃等、敷金、共益費その他の金銭を管理する口座は締結した管理受託契約ごと、又は管理受託契約を委託した賃貸人ごとに分別することが望ましいですが、少なくとも家賃等を管理する口座を同一口座とすることとして差し支えなく、また、必ずしも管理受託契約ごと、管理受託契約を委託した賃貸人ごと、物件ごとに口座を分ける必要はなく、賃貸住宅管理業者の固有財産を管理する口座と分別とすれば足ります。
入居者から受領した家賃等が一時的に賃貸住宅管理業者の固有財産を管理する口座に入金されている状態は許容されますか。
家賃等を管理する口座にその月分の家賃をいったん全額預入し、当該口座から賃貸住宅管理業者の固有財産を管理する口座に管理報酬分の金額を移し替える等、家賃等を管理する口座と賃貸住宅管理業者の固有財産を管理する口座のいずれか一方に家賃等及び賃貸住宅管理業者の固有財産が同時に預入されている状態が生じることは差し支えありません。ただし、この場合においては、家賃等又は賃貸住宅管理業者の固有財産を速やかに家賃等を管理する口座又は賃貸住宅管理業者の固有財産を管理する口座に移し替えることとしております。
自己の保有する財産と入居者から受領した家賃、敷金、共益費その他の金銭を、口座を区分して管理する分別管理を行っていますが、オーナーが安心して管理業務を委託できるように、入居者から受領した家賃等に対して保全措置を講ずる場合にはどのような方法がありますか。
法律上、賃貸住宅管理業者が入居者から受領した家賃等に保全措置をとることまでは求められていませんが、経営状況の悪化や経営破たんなどにより、本来オーナーに支払われるべき金銭をオーナーに引き渡せなかった場合は、オーナーや入居者がその損害を被ることになります。
賃貸住宅管理業者が不測の事態に備え、オーナーに引き渡すべき金銭を保証弁済する公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の預り金保証制度に加入することや、信託口座を活用した分別管理をすることなどによって、自主的に保全措置を講じることは、賃貸住宅管理業者として望ましいことと考えられます。
全ての従業員が従業者証明書を携帯する必要はありますか。
従業者証明書を携帯させるべき者の範囲は、以下の①又は②に該当する者となります。
①正規及び非正規を問わず、賃貸住宅管理業者と直接の雇用関係にあって、賃貸住宅管理業の業務に携わる者
②派遣事業者より賃貸住宅管理業者へ派遣され、賃貸住宅管理業の業務に携わる派遣社員で、当該派遣社員に対して賃貸住宅管理業者が直接の指揮命令権を有する者
賃貸住宅管理業者と直接の雇用関係にある者であっても、内部管理事務に限って従事する者は、従業者証明書の携帯の義務はありません。
各営業所等に備え付ける必要のある帳簿にはどのような事項を記載すればよいですか。
帳簿への記載事項は以下の6項目が該当します。
- 管理受託契約を締結した委託者の商号、名称又は氏名
- 管理受託契約を締結した年月日
- 契約の対象となる賃貸住宅(※)
※管理受託契約の対象となる賃貸住宅の所在地及び物件の名称、部屋番号、委託の対象となる部分及び附属設備などを指す - 受託した賃貸住宅管理業務の内容
- 報酬の額(※)※賃貸住宅管理業者に対する報酬だけでなく、管理業務に要する費用等、賃貸住宅管理業者が費用を支払い、その費用を賃貸人から支払いを受ける場合は、その費用も含む
- 管理受託契約における特約その他参考となる事項
標識に記載すべき事項はどのようなものがありますか。
標識に記載すべき事項は以下のとおりです。
なお標識の大きさは縦25cm以上横35cm以上となります。
- 登録番号
- 登録年月日
- 登録の有効期間
- 商号、名称又は氏名
- 主たる営業所又は事務所の所在地
具体の様式につきましては、規則の別記様式第十二号をご参照下さい。
営業所又は事務所ごとに掲示する必要のある標識は各事業者が自分で用意する必要がありますか。
標識は各事業者において用意する必要があります。なお、休業している場合においても事業の廃止手続きを行わない限り、標識の掲示は必要となります。
法第19条の標識に記載する「登録番号」について、本法による登録番号が付与されるまでの間、告示に基づく賃貸住宅管理業者登録制度により付与されていた登録番号を暫定的に記載して掲示することは可能ですか。
廃止前賃貸住宅管理業者登録規程に基づく賃貸住宅管理業者登録制度は、法の施行日をもって廃止されるため、法第19条の標識の「登録番号」に、廃止前賃貸住宅管理業者登録規程に基づく賃貸住宅管理業者登録制度に基づいて付与されていた登録番号を記載することはできません。
賃貸人への定期報告は、どのような項目、頻度及び方法で行えばよいですか。
【報告事項】
・報告の対象となる期間・管理業務の実施状況 (家賃等の金銭の収受状況、維持保全の実施状況等)
・入居者からの苦情の発生状況及び対応状況
※上記の事項を法令上報告が義務付けられる最低限の事項としておりますが、上記以外の事項についても、賃貸人の求めに応じて報告することを推奨しております。
【頻度】
報告の頻度については、上記事項の報告を最低限年に1回行うことを法令上義務付け、報告事項によっては、それ以上の頻度で行うことを推奨しております。
【報告方法】
管理業務報告書の交付方法については書面によらず、メール等の電磁的方法によることも可能となりますが、賃貸人とのトラブルを未然に防止する観点からも、当該提供を行う賃貸住宅管理業者において、管理業務報告書のデータを適切に保存するよう努めるものとしております。また、管理業務報告書に係る説明方法は問いませんが、賃貸人と説明方法について協議の上、双方向でやりとりできる環境を整え、賃貸人が管理業務報告書の内容を理解したことを確認する必要があります。
秘密保持義務が課される「従業者」は再委託先の従業員も含まれますか。
秘密保持義務が課される「従業者」とは賃貸住宅管理業者の指揮命令に服しその業務に従事する者をいい、再委託契約に基づき管理業務の一部の再委託を受ける者等賃貸住宅管理業者と直接の雇用関係にない者であっても含まれます。
法施行前に締結された管理受託契約について、賃貸人への定期報告を行う必要はありますか。
法施行前に締結されていた契約については、定期報告義務を適用除外としています。(法附則第3条)ただし、オーナー保護の観点から、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」において、当該管理受託契約が更新された場合、形式的な変更と認められる場合であっても、更新された後においては、賃貸人に対して法第20条に基づく報告を行うべきであり、更新前においても可能な限り早期に報告を行うことが望ましいとしております。
また、管理受託契約について形式的な変更を行った場合は更新時同様の取扱いとなりますが、形式的な変更とは認められない変更を行った場合は、通常の契約と同様に定期報告を行う必要があります。