Contents
- 0.1 賃貸住宅
- 0.2 受託管理(賃貸住宅管理業者)
- 0.2.1 「賃貸住宅管理業」にはどのようなものが該当しますか。
- 0.2.2 賃貸住宅の賃貸人から委託を受けていない場合でも「賃貸住宅管理業」に該当しますか。
- 0.2.3 「賃貸住宅の維持保全を行う業務」とはどのような業務が該当しますか。
- 0.2.4 マンション等で居室内など専有部分のみを行っている場合「賃貸住宅の維持保全を行う業務」に該当にしますか。
- 0.2.5 「いわゆるアセットマネジメント事業者」には、どのような者が該当しますか。
- 0.2.6 「家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務」とはどのような業務が該当しますか。
- 0.2.7 「家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理」の「金銭」にはどのようなものが含まれますか。
- 0.2.8 「事業を営む者」とはどのようものが該当しますか(「営利性」の有無)。
- 0.2.9 「営業所又は事務所」とはどのようなものが該当しますか。
- 0.3 サブリース(特定賃貸借契約(マスターリース契約))
- 0.3.1 どのようなものが「特定賃貸借契約(マスターリース契約)」に該当しますか。
- 0.3.2 特定転貸事業者(サブリース業者)から賃貸住宅を借り上げ、当該賃貸住宅を第三者に再転貸する場合、当該特定転貸事業者と再転貸を行う者との間の賃貸借契約についても特定賃貸借契約(マスターリース契約)に該当しますか。
- 0.3.3 「賃貸人と密接な関係を有する者」とはどのようなものが該当しますか。
- 0.3.4 特定賃貸借契約(マスターリース契約)がパススルー型の場合、どのような観点で営利性の有無が判断されますか。
- 0.3.5 老人ホームやデイケアホームを利用契約という形で運営する場合、当該利用契約は「特定賃貸借契約」に該当しますか。
- 0.4 サブリース(特定転貸事業者(サブリース業者))
- 0.5 社宅代行業者(転貸型社宅代行業者)は「特定転貸事業者(サブリース業者)」に該当しますか。
- 1 社宅代行業者(転貸型社宅代行業者)から賃貸住宅を借り上げた企業が社内規定等に基づき、従業員へ社宅を提供する場合、当該企業は「特定転貸事業者(サブリース業者)」に該当しますか。
賃貸住宅
どのようなものが「賃貸住宅」に該当しますか。
「賃貸住宅」、すなわち賃貸の用に供する住宅とは、賃貸借契約を締結し賃借することを目的とした、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分を指します。なお、「住宅」は、その利用形態として「人の居住の用に供する」ことを要件とされていることから、通常事業の用に供されるオフィスや倉庫等はこの要件に該当せず、「住宅」に該当しません。
ウィークリーマンション等は「賃貸住宅」に該当しますか。
いわゆるウィークリーマンションについては、旅館業法第3条第1項の規定による許可を受け、旅館業として宿泊料を受けて人を宿泊させている場合、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則(以下「規則」という。)第1条の規定のとおり、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下「法」という。)第2条第1項の「賃貸住宅」には該当しません。一方、いわゆるマンスリーマンションなど、利用者の滞在期間が長期に及ぶなど生活の本拠として使用されることが予定されている、施設の衛生上の維持管理責任が利用者にあるなど、当該施設が旅館業法に基づく営業を行っていない場合には、法第2条第1項の「賃貸住宅」に該当することとなります。
「事業の用に供されているもの」とはどのようなものが該当しますか。
「事業の用に供されているもの」とは、国家戦略特別区域法第13条第1項の規定による認定に係る施設である住宅のうち同条第5項に規定する認定事業の用に供されているもの、住宅宿泊事業法第3条第1項の規定による届出に係る住宅のうち同法第2条第3項に規定する住宅宿泊事業の用に供されているものを指します。例えば、これら住宅が、現に人が宿泊している又は現に宿泊の予約や募集が行われている状態にあること等をいい、これら事業の用に供されていない場合には、賃貸の用に供されることも想定され、その場合法第2条第1項の「賃貸住宅」に該当します。
受託管理(賃貸住宅管理業者)
「賃貸住宅管理業」にはどのようなものが該当しますか。
「賃貸住宅管理業」とは、賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて管理業務(「賃貸住宅の維持保全を行う業務」又は「賃貸住宅の維持保全を行う業務」及び「家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務」を併せて実施する業務)を行う事業のことをいいますが、「家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務」のみを実施する事業は本法の「賃貸住宅管理業」に該当しません。また、他の法令によって財産の管理を委託をした者の保護が図られている、信託や任意後見契約に基づく業務の実施をこれに含む趣旨ではありません。
賃貸住宅の賃貸人から委託を受けていない場合でも「賃貸住宅管理業」に該当しますか。
「委託を受けて」とは、賃貸人から明示的に契約等の形式により委託を受けているか否かに関わらず、本来賃貸人が行うべき賃貸住宅の維持保全を、賃貸人からの依頼により賃貸人に代わって行う実態があれば、「賃貸住宅管理業」に該当することとなります。
「賃貸住宅の維持保全を行う業務」とはどのような業務が該当しますか。
「賃貸住宅の維持保全を行う業務」とは、居室及び居室の使用と密接な関係にある住宅のその他の部分である、玄関・通路・階段等の共用部分、居室内外の電気設備・水道設備、エレベーター等の設備等について、点検・清掃等の維持を行い、これら点検等の結果を踏まえた必要な修繕を一貫して行うことをいいます。例えば、定期清掃業者、警備業者、リフォーム工事業者等が、維持又は修繕の「いずれか一方のみ」を行う場合や、エレベーターの保守点検・修繕を行う事業者等が、賃貸住宅の「部分のみ」について維持から修繕までを一貫して行う場合、入居者からの苦情対応のみを行い維持及び修繕(維持・修繕業者への発注等を含む。)を行っていない場合は、「賃貸住宅の維持保全を行う業務」には該当しません。
マンション等で居室内など専有部分のみを行っている場合「賃貸住宅の維持保全を行う
業務」に該当にしますか。
分譲マンション等の1室のみの専有部分を受託管理する場合であっても、上問で示した業務を実施する場合は、「賃貸住宅の維持保全を行う業務」に該当します。
「いわゆるアセットマネジメント事業者」には、どのような者が該当しますか。
金融商品取引法第2条第9項の金融商品取引業者(同法第28条第3項の投資助言・代理業を行う者又は同条第4項の投資運用業を行う者(金融商品取引業等に関する内閣府令第7条第7号の不動産関連特定投資運用業を行う場合に限る。)に限る。)、資産の流動化に関する法律第200条第2項の規定により特定資産の管理及び処分に係る業務の委託を受ける者、不動産特定共同事業法第2条第5項の不動産特定共同事業者、同条第7項の小規模不動産特定共同事業者、同条第11項の適格特例投資家限定事業者から不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務の委託を受けた宅地建物取引業者(宅地建物取引業法第2条第3号の宅地建物取引業者をいう。)は、「いわゆるアセットマネジメント事業者」に該当します。
「家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務」とはどのような業務が該当しま
すか。
「家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務」とは、賃貸住宅管理業者が賃借人から受領した家賃、敷金、共益費等の金銭管理を指します。なお、金銭の管理を行う業務については、賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて、当該委託に係る賃貸住宅の維持保全を行うことと併せて行うものに限り、本法第2条第2項に規定する賃貸住宅管理業に該当します。
「家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理」の「金銭」にはどのようなものが含まれま
すか。
法第2条第2項第2号の「家賃、敷金、共益費その他の金銭」とは、賃貸人が入居者との賃貸借契約に基づいて当該入居者より本来受領すべき金銭のことを指し、具体的には、家賃、敷金、共益費等が含まれます。
なお、サブリース方式において、サブリース業者が入居者から家賃、敷金、共益費等を受領する場合には、これらはサブリース業者が賃貸人の立場として受領するものであることから、第2項第2号の「家賃、敷金、共益費その他の金銭」には含まれないと考えられます。
「事業を営む者」とはどのようものが該当しますか(「営利性」の有無)。
「事業を営む」とは、営利の意思を持って反復継続的に賃貸住宅管理業を行うことをいい、営利の意思の有無については、客観的に判断されることとなります。
「営業所又は事務所」とはどのようなものが該当しますか。
管理受託契約の締結、維持保全の手配、又は家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理の業務(法第2条第2号に規定する業務を行う場合に限る。)が行われ、継続的に賃貸住宅管理業の営業の拠点となる施設として実態を有するものが該当します。電話の取次ぎのみを行う施設、維持保全業務に必要な物品等の置き場などの施設は、営業所又は事務所には該当しません。なお、個人の場合は、その営業の本拠が該当します。
サブリース(特定賃貸借契約(マスターリース契約))
どのようなものが「特定賃貸借契約(マスターリース契約)」に該当しますか。
「特定賃貸借契約(マスターリース契約)」とは、賃貸人と賃借人との間で締結される賃貸住宅の賃貸借契約であって、賃借人が、当該賃貸住宅を転貸する事業を営むことを目的として締結されるものをいい、ここで、事業を営むとは、営利の意思を持って反復継続的に転貸することを指します。なお、営利の意思の有無については、客観的に判断されることとなるため、個人が賃借した賃貸住宅について、事情により、一時的に第三者に転貸するような場合は、特定賃貸借契約に該当しません。
特定転貸事業者(サブリース業者)から賃貸住宅を借り上げ、当該賃貸住宅を第三者に
再転貸する場合、当該特定転貸事業者と再転貸を行う者との間の賃貸借契約についても
特定賃貸借契約(マスターリース契約)に該当しますか。
賃貸住宅の原賃貸人との間で特定賃貸借契約(マスターリース契約)を締結した特定転貸事業者(サブリース業者)から当該賃貸住宅を借り上げ、第三者への再転貸を行う場合、当該特定転貸事業者と当該再転貸を行う事業者との間の賃貸借契約についても、特定賃貸借契約(マスターリース契約)に該当します。
「賃貸人と密接な関係を有する者」とはどのようなものが該当しますか。
【賃貸人が個人である場合】
・当該賃貸人の親族
・当該賃貸人又はその親族が役員である法人
【賃貸人が会社法で定める会社の場合】
・当該賃貸人の親会社
・当該賃貸人の子会社
・当該賃貸人の関連会社
・当該賃貸人が他の会社等の関連会社である場合における当該他の会社等
・当該賃貸人の親会社の子会社(当該賃貸人を除く。)
【賃貸人が登録投資法人である場合】
・当該登録投資法人の資産運用会社の関連会社
【賃貸人が賃貸人が特定目的会社である場合】
・当該特定目的会社の委託を受けて特定資産の管理及び処分に係る業務を行う者の関係会社
【賃貸人が組合である場合】
・当該組合の業務執行者又は当該業務執行者の関係会社
【賃貸人が特例事業者である場合】
・当該特例事業者の委託を受けて当該特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を行う不動産特
定共同事業者の関係会社又は当該業務を行う小規模不動産特定共同事業者
【賃貸人が賃貸住宅に係る信託の受託者である場合】
・当該信託の委託者又は受益者(以下「委託者等」という。)の関係会社
・委託者等が登録投資法人である場合における当該登録投資法人の資産運用会社の関係会社
・委託者等が特定目的会社である場合における当該特定目的会社の委託を受けて特定資産の管理及び処分に係る業務を行う者の関係会社
特定賃貸借契約(マスターリース契約)がパススルー型の場合、どのような観点で営利
性の有無が判断されますか。
事業スキーム全体の事業性を鑑みて営利性を有無を判断することになります。そのため、特定賃貸借契約(マスターリース契約)を根源として運用等で利益が生み出されるような事業スキームである場合、仮にパススルー型において賃料やその他手数料として控除しているものが無かったとしても、その点のみをもって直ちに営利性がないと判断されるものではありません。
老人ホームやデイケアホームを利用契約という形で運営する場合、当該利用契約は「特
定賃貸借契約」に該当しますか。
「特定賃貸借契約」とは、賃貸住宅の賃貸借契約であって、賃借人が当該賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営むことを目的として締結されるものをいい、老人ホームやデイケアホームの利用契約は賃貸借契約には該当しないことから、「特定賃貸借契約」には該当しません。
サブリース(特定転貸事業者(サブリース業者))
「特定転貸事業者(サブリース業者)」とはどのようなものが該当しますか。
「特定転貸事業者(サブリース業者)」とは、特定賃貸借契約(マスターリース契約)に基づき賃借した賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営む者をいい、ここで、事業を営むとは、営利の意思を持って反復継続的に転貸することをいうものとしております。なお、営利の意思の有無については、客観的に判断されることとなります。
特定賃貸借契約(マスターリース契約)を締結しようとしていれば、その戸数にかかわ
らず、特定転貸事業者(サブリース業者)に対する規制が課されるのですか。
本法は、特定転貸事業者(サブリース業者)や勧誘者による勧誘や特定賃貸借契約(マスターリース契約)の締結といった行為に着目して、その適正化に必要な措置をすべての者に義務付けていますので、営利の意思を持って反復継続的に賃貸住宅の転貸を行う場合はその規模によらず規制が課されます。
社宅代行業者(転貸型社宅代行業者)は「特定転貸事業者(サブリース業者)」に該当
しますか。
社宅代行業者(転貸人)が賃貸住宅を所有者(賃貸人)から借り上げ、企業(転借人)との間で賃貸借契約を締結した場合、特定転貸事業者(サブリース業者)に該当します。また、所有者(賃貸人)に支払う家賃と当該企業から支払われる家賃が仮に同額であっても、当該企業から手数料等何らかの名目で収益を得ることが一般的であるため、営利の意思を持っているということができ、「転貸する事業を営む者」に該当することから、その場合も特定転貸事業者(サブリース業者)に該当します。
社宅代行業者(転貸型社宅代行業者)から賃貸住宅を借り上げた企業が社内規定等に基づき、従業員へ社宅を提供する場合、当該企業は「特定転貸事業者(サブリース業者)」に該当しますか。
社宅代行業者(転貸人)が企業(転借人)との間で賃貸借契約を締結し、当該企業が、転貸人から賃借した家屋等にその従業員等を入居させる場合、社内規定等に基づき従業員等に利用させることが一般的であるため、この場合における当該企業は「転貸する事業を営む者」に該当せず、特定転貸事業者(サブリース業者)に該当しません。また、当該企業と従業員等との間で賃貸借契約が締結されている場合であっても、相場よりも低廉な金額を利用料として徴収する場合には、従業員等への転貸により利益を上げることを目的とするものではないことから、この場合における当該企業も同様に「転貸する事業を営む者」には該当せず、特定転貸事業者(サブリース業者)には該当しません。
賃貸人が信託受託者、賃借人が信託受益権者であり、賃借人が第三者に転貸する場合、
賃借人は「賃貸人と密接な関係を有する者」に該当せず、特定転貸事業者(サブリース
業者)に該当しますか。(GK-TKスキーム)
受託者は実質的には委託者又は受益者と同視できますが、本法では賃借人が「委託者又は受益者」自身である場合には規定がありませんので信託の委託者/受益者の関係会社には含まれず、特定賃貸借契約(マスターリース契約)からは除外されないことから特定転貸事業者(サブリース業者)に該当します。
サービス付高齢者住宅を運営する事業者は「特定転貸事業者(サブリース業者)」に該
当しますか。
サービス付き高齢者向け住宅については、住宅の所有者から運営事業者が住宅を借り受け入居者へ賃貸する形態により運営されております。このような形態は、営利目的で賃貸住宅を賃借し、第三者へ転貸する事業を営むものであることから、特定転貸事業者(サブリース業者)に該当することとなります。