委任者(賃借人)
■解除事務受任者及び残置物処理事務受任者の選定
賃借人がその意思にしたがって解除事務受任者及び残置物処理事務受任者を選びます。
■委任者死亡時通知先の指定
自分が亡くなったときに、その旨及び残置物の処理等が行われることを通知する者を指定します(受任者が賃貸物件内の残置物を搬出する際に通知する相手でもあります)。残置物関係事務委託契約書に氏名、住所、電話番号、メールアドレス等通知に必要な情報を記載します。通知をしてほしい相手がいない場合は不要です。
■委任者死亡時通知先の変更
委任者は、受任者に対して書面又は電磁的記録により通知すれば、委任者死亡時通知先を変更することができます。
■指定残置物の指定
亡くなったときに廃棄しないでほしい家財(相続人に残したい動産、遺贈や死因贈与した動産、委任者以外の者が所有する動産)を指定します。さらにその送り先(連絡先)を記載したリスト等を作成します。
■新たな残置物の処理等に関する契約を締結する努力義務
賃貸借契約の存続中に残置物の処理等に関する契約が終了した場合(既に同内容の契約が締結されている場合を除く)、賃借人は、速やかに同内容の契約を新たに締結するように努める必要があります。
■新たな残置物の処理等に関する契約が締結された場合の通知
従前の残置物の処理等に関する契約が終了し、新たな契約が締結された場合には、賃貸人が受任者を把握できるよう、賃借人は賃貸人に対し、その旨を書面又は電磁的記録により通知しなければなりません。
賃貸人(大家)
■解除事務受任者への死亡事実の通知
賃借人が亡くなったことを知った場合、速やかに解除事務受任者に対し、その旨を書面又は電磁的記録により通知しなければなりません。
■賃貸借契約の解除
賃借人が亡くなった場合、賃貸借契約の解除に関する代理権を持った解除事務受任者との合意により、賃貸借契約を解除することができます。 また、賃借人が亡くなって賃料が支払われない場合には、解除事務受任者に対して債務不履行を理由として賃貸借契約を解除する旨の意思表示をすることにより、賃貸借契約を終了させることもできます。
■残置物処理事務受任者への賃貸借契約終了事実の通知
賃貸借契約が終了した場合、速やかに、残置物処理事務受任者にその旨を書面又は電磁的記録により通知しなければなりません。
■物件内への立ち入りの協力
残置物処理事務受任者から賃貸物件内への立ち入りを求められた場合、協力することになります(賃貸人が保有するマスターキーによる開錠など)。
解除事務受任者
■賃貸借契約の解除
解除事務受任者は、賃貸借契約の解除に関する代理権に基づき、賃貸人との合意により、賃貸借契約を解除することができます。
■解除事務受任者の義務
解除事務受任者が委任事務を処理するにあたっては、賃借人又は賃借人の地位を承継したその相続人の意向等を考慮し、その利益のために委任事務を処理する必要があります。
残置物処理事務受任者
■委任者(賃借人)と指定残置物の指定方法等について確認
指定残置物の指定方法等について委任者とともに確認します。
■委任者死亡時通知先への死亡事実等の通知
残置物処理事務受任者が委任者の死亡を知った場合には、直ちにその旨及び委任事務を受託していることを、委任者死亡時通知先に通知する必要があります(委任者死亡時通知先の指定がないときは不要)。
■残置物の処理
残置物の処理については、前述の「ステップ4:受任者である居住支援法人による残置物への対応」をご参照ください。
■残置物処理事務受任者の義務
残置物処理事務受任者が委任事務を処理するにあたっては、賃借人又は賃借人の地位を承継したその相続人の意向等を考慮し、その利益のために委任事務を処理する必要があります。
委任者死亡時通知先
委任者死亡時通知先はモデル契約条項に基づく契約の当事者となるわけではなく、契約上の義務を負うわけではありませんが、例えば、次のような役割を果たすことも想定されます。
■残置物処理業務への協力
残置物処理事務受任者からの委任者死亡の連絡を受け、残置物の送付・換価、廃棄等のため賃貸物件又はその敷地から搬出する場合に残置物の搬出の可否や処理方法について確認します。
■相続人への連絡(相続人の所在等を知っている場合)
相続人の所在等を知っている場合には、委任者の死亡や、残置物処理事務受任者により残置物の処理等が行われることを相続人に連絡します。