賃貸住宅管理業法の制定
2020 (令和2)年6月、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に 関する法律(賃貸住宅管理業法)」 が制定されました。 これは、 賃貸住宅管理業を営む者についての登録制度の創設と、 サブ リース事業の規制からなる法律です。なお、 賃貸住宅管理業法第1条には、 この法律の目的につ いて、以下のように述べています。
この法律は、社会経済情勢の変化に伴い国民の生活の基盤としての賃 貸住宅の役割の重要性が増大していることに鑑み、 賃貸住宅の入居者の 居住の安定の確保及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の公正かつ円滑な実施 を図るため、 賃貸住宅管理業を営む者に係る登録制度を設け、その業務 の適正な運営を確保するとともに、 特定賃貸借契約の適正化のための措 置等を講ずることにより、 良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な 確保を図り、もって国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与する ことを目的とする。
賃貸住宅
賃貸の用に供する住宅のみが対象となります。 したがって、 事業用の事務所・店舗・工場・倉庫等は対象外となります。なお、 家屋等が建築中である場合も、 竣工後に賃借人を募 集する予定であり、居住の用に供することが明らかな場合には賃貸住宅に該当します。
[賃貸住宅に当たるか]
居住用建物 生活の本拠として利用している 〇 居住用建物 生活の本拠として利用していない (事務所等) × 店舗併用住宅 店舗部分 × ウィークリー マンション 旅館業法で営業しているもの × ウィークリー マンション 旅館業法に基づく営業を行っていないもの 〇 店舗 店舖部分 ×
特区民泊と住宅宿泊事業法による民泊については、これらの対象となる住宅が事業の用に供されている場合、除外されます。
賃貸管理(管理業務)
「一般の賃貸管理」 とは、以下のものを指します。
A 賃貸住宅の維持保全 (点検・清掃・修繕)
B 家賃 敷金・共益費等の金銭管理
A のみ、もしくは AB両方を受託している業者が対象となります。 B のみは対象ではありません。 つまり、家賃入金の 管理のみを行い、維持保全業務を全くしない場合は、管理業 には該当しません。したがって、たとえ管理戸数がいくつで あっても、賃貸住宅管理業の登録を受ける必要はないという ことです。
また、ここでいう 「賃貸住宅の維持保全」とは、居室およ び居室の使用と密接な関係にある住宅のその他の部分(廊下・ 電気設備 エレベーター設備等) について、点検・清掃等の 維持を行い、これら点検等の結果を踏まえた必要な修繕を一 貫して行うことをいいます。 つまり 「維持 (点検・清掃)」と「修繕」を両方行う必要があるということです。 したがって、 維 持のみを行う定期清掃業者や、修繕のみを行うリフォーム工 事業者は、管理業務にはあたりません。
また、維持・修繕を 「居室」 と 「居室以外の部分」の両方 で行う必要があります。 したがって、 共用エレベーターの保 守点検は、 「居室以外の部分」 のみについて行うため、管理業 務に当たりません。
なお、維持保全を行う業務には、賃貸住宅の賃貸人のため に維持保全に係る契約の締結の媒介、取次ぎまたは代理を行 う業務を含みます。
委託を受けて行うのではなく、自ら が所有者個人として行う場合は管理業務ではありません。