「特定賃貸借契約(マスターリース契約)」とは、賃貸人と賃借人との間で締結される賃貸住宅の賃貸借契約であって、賃借人が、当該賃貸住宅を転貸する事業を営むことを目的として締結されるものをいい、ここで、事業を営むとは、営利の意思を持って反復継続的に転貸することを指します。なお、営利の意思の有無については、客観的に判断されることとなるため、個人が賃借した賃貸住宅について、事情により、一時的に第三者に転貸するような場合は、特定賃貸借契約に該当しません。

説明内容

特定賃貸借契約を締結する特定転貸事業者の商号等

  • 賃貸住宅管理業者(乙)
  • 説明をする者
  • 業務管理者

特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅

  • 建物の名称・所在地等
  • 住戸部分
  • その他の部分
  • 建物設備
  • 附属施設等

契約期間に関する事項

乙が甲に支払う家賃その他賃貸の条件に関する事項

乙が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法

  • 点検・清掃等
  • 修繕等
  • その他

乙が行う賃貸住宅の維持保全の費用負担に関する事項

  • 点検・清掃等
  • 修繕等
  • その他

維持保全の実施状況の報告に関する事項

(記載例)
(5)に記載する乙が行う賃貸住宅の維持保全の実施状況を定期的に報告することとします。また、甲
は必要があると認められるときは、乙に対して維持保全の実施状況に関して報告を求めることができ
ることとします。

損害賠償額の予定又は違約金に関する事項

(記載例)
引渡日までの間の解約を行う場合は、○日前に申し入れをすることとし、違約金は○円とします。

責任及び免責に関する事項

(記載例)
・天災等による損害等、乙が責任を負わないこととする場合は、その旨を記載し、説明すること。
・甲が賠償責任保険等への加入をすることや、その保険に対応する損害については乙が責任を負わな
いこととする場合は、その旨を記載し、説明すること。

転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項

乙が行う賃貸住宅の維持保全の内容の転借人に対する周知に関する事項

  • 転借人へ周知する内容
  • 転借人への周知方法

契約の更新又は解除に関する事項

(記載例)
a. 契約の更新及び更新拒絶について
甲及び乙は、協議の上、本契約を更新することができます。
また、本契約には、借地借家法第 28 条(更新拒絶等の要件)が適用されるため、甲から更新を拒絶
する場合には、
①甲及び乙(転借人(入居者)を含む)が建物の使用を必要とする事情
②建物の賃貸借に関する従前の経過
③建物の利用状況及び建物の現況並びに甲が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換
えに乙(転借人(入居者)を含む)に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるそ
の申出
を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければすることができません。
b. 契約の解約について
乙は、甲に対して少なくとも○ヶ月前に解約の申し入れを行うことにより、本契約を解約すること
ができます。
c. 契約の解除について
甲は、乙が家賃支払義務を3ヶ月以上怠ったとき、転貸の条件に従い転貸する義務に違反した場合、
及び維持保全の費用負担義務に違反した場合に、甲が相当の期間を定めて当該義務の履行を催告した
にもかかわらず、その期間内に当該義務が履行されないときは、本契約を解除することができます。
※その他、家賃改定の協議で合意できなければ契約が終了する条項や、一定期間経過後との修繕に
応じない場合には契約を更新しないこととする場合は、その旨を記載し説明すること。

乙の権利義務の承継に関する事項

本契約が終了した場合、甲は、転貸借契約における乙の転貸人の地位を承継することとします。転貸
人の地位を承継した場合、正当な事由なく入居者の契約更新を拒むことはできません。また、その場
合、甲は乙の敷金返還債務を承継することなります。

借地借家法その他特定賃貸借契約に係る法令に関する事項の概要

(記載例)
a. 借地借家法第32条第1項(借賃増減請求権)について
・本契約には、借地借家法第32条第1項(借賃増減請求権)が適用されるため、上記の家賃改定日
以外の日であっても、乙から甲に支払う家賃が、変更前の家賃額決定の要素とした事情等を総合
的に考慮した上で、
①土地又は建物に対する租税その他の負担の増減により不相当となったとき
②土地又は建物の価格の上昇又は低下その他の経済事情の変動により不相当となったとき
③近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき
は、本契約の条件にかかわらず乙は家賃を相当な家賃に減額することを請求することができます。
・ただし、空室の増加や当社の経営状況の悪化等が生じたとしても、上記①~③のいずれかの要件
を充足しない限りは、同条に基づく減額請求はできません。
・また、借地借家法に基づく、乙からの減額請求について、甲は必ずその請求を受け入れなければな
らないわけでなく、乙との間で、変更前の家賃決定の要素とした事情を総合的に考慮した上で、
協議により相当家賃額が決定されることとなります。
b. 借地借家法第28条(更新拒絶等の要件)について
・本契約には、借地借家法第28条(更新拒絶等の要件)が適用されるため、甲から更新を拒絶する
場合には、
①甲及び乙(転借人(入居者)を含む)が建物の使用を必要とする事情
②建物の賃貸借に関する従前の経過
③建物の利用状況及び建物の現況並びに甲が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換
えに乙(転借人(入居者)を含む)に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるそ
の申出
を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければすることができません。

(参考)比較表

特定賃貸借契約 重要事項説明書特定賃貸借標準契約書
特定賃貸借契約を締結する特定転貸事業者の商号等
賃貸住宅管理業者(乙)
説明をする者
業務管理者
委託者(甲)
借主(乙)
業務管理者
特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅賃貸借の目的物
契約期間に関する事項契約期間
引渡日
乙が甲に支払う家賃その他賃貸の条件に関する事項家賃等
家賃支払義務発生日
乙が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法乙が行う維持保全の実施方法
乙が行う賃貸住宅の維持保全の費用負担に関する事項賃貸住宅の維持保全の費用分担
維持保全の実施状況の報告に関する事項
損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
責任及び免責に関する事項合意管轄裁判所
特約
転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項転貸の条件
転貸に関する敷金の分別管理の方法
乙が行う賃貸住宅の維持保全の内容の転借人に対する周知に関する事項住戸明細表
契約の更新又は解除に関する事項
乙の権利義務の承継に関する事項
借地借家法その他特定賃貸借契約に係る法令に関する事項の概要

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