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事業関連(サブリース)

「勧誘者」とはどのようなものが該当しますか。

「勧誘者」とは、「特定転貸事業者(サブリース業者)が特定賃貸借契約(マスターリース契約)の締結についての勧誘を行わせる者」であり、
特定の特定転貸事業者と特定の関係性を有する者であって、当該特定転貸事業者の特定賃貸借契約の締結に向けた勧誘を行う者と定義しております。特定転貸事業者から委託を受けて勧誘を行う者が該当するほか、明示的に勧誘を委託されてはいないが、特定転貸事業者から勧誘を行うよう依頼をされている者や、勧誘を任されている者は該当し、依頼の形式は問わず、資本関係も問いません。

なお、勧誘者に該当するかどうかについては、例示されていないものも含め、個別事案ごとに客観的に判断されることになりますが、通常、勧誘者に該当する者として以下が想定されます。

・建設会社、不動産業者、金融機関等の法人やファイナンシャルプランナー、コンサルタント等の個人が特定転貸事業者から勧誘の委託を受けて、当該事業者との契約の内容や条件等を前提とした資産運用の企画提案を行ったり、当該契約を締結することを勧めたりする場合・建設業者や不動産業者が、自社の親会社、子会社、関連会社の特定転貸事業者の特定賃貸借契約の内容や条件等を説明したり、当該特定賃貸借契約を結ぶことを勧めたりする場合 等

個人のオーナーなどが「勧誘者」に該当する場合はありますか。

賃貸住宅のオーナーが、新たに賃貸住宅のオーナーとなろうとする者に対し、自己の物件について特定賃貸借契約(マスターリース契約)を結んでいる特定の事業者から、勧誘の対価として紹介料等の金銭を受け取り、当該事業者と特定賃貸借契約を結ぶことを勧めたり、当該契約の内容や条件等を説明したりする場合などは、勧誘者に該当するため、個人であっても不当な勧誘等を行った場合、行政処分や罰則の対象になります。

アパート等の建設を目的としている建設会社が、アパート建設前の勧誘段階では特定の関係性のあるサブリース業者が賃貸住宅として転貸するのか、異なる目的で転貸するのか不明であり、建設請負契約後に転貸目的が確定する場合、当該建設会社は「勧誘者」に該当しますか。

建設会社が自社の顧客に対し、アパート等の賃貸住宅の建設を行う企画提案をする段階で、建設請負契約を結ぶ対象となる賃貸住宅に関して、顧客を勧誘する目的で特定転貸事業者(サブリース業者)が作成した特定賃貸借契約(マスターリース契約)の内容や条件等を説明する資料等を使って、賃貸事業計画を説明したり、当該契約を結ぶことを勧めたりする場合は勧誘者に該当します。

「勧誘者」が「勧誘行為」を第三者に再委託した場合、当該第三者も勧誘者に該当しますか。

勧誘行為を再委託された者も勧誘者に該当しますので、不当勧誘等を行った場合は行政処分や罰則の対象になります。なお、勧誘者にあたるかどうかは、特定の特定転貸事業者(サブリース業者)と特定の関係性を有する者であるかどうかを客観的に判断することとなります。

「勧誘行為」とはどのようなものが該当しますか。

本法で規定する「勧誘行為」とは、オーナーとなろうとする者が特定賃貸借契約(マスターリース契約)を締結する意思の形成に影響を与える程度の勧め方をいい、個別事案ごとに客観的に判断されることに留意が必要となります。具体的には、特定の事業者との特定賃貸借契約を結ぶことを直接勧める場合のほか、特定の事業者との特定賃貸借契約のメリットを強調して締結の意欲を高めるなど、客観的に見てオーナーとなろうとする者の意思の形成に影響を与えていると考えられる場合も「勧誘行為」に含まれます。さらに、不特定多数の者に向けられたものであっても、特定の事業者の特定賃貸借契約の内容や条件等を具体的に認識できるような内容であって、それが個別のオーナーとなろうとする者の意思形成に影響を与える場合は、「勧誘行為」に該当する可能性があります。

契約の内容や条件等に触れずに単に特定転貸事業者(サブリース業者)を紹介する行為は「勧誘行為」に該当しますか。

特定の事業者の契約内容や条件等に触れずに、一般的なサブリースの仕組みの説明に留まる場合や単に特定転貸事業者(サブリース業者)を紹介する行為は「勧誘行為」に該当しません。

誇大広告

「著しく事実に相違する表示」とはどのような表示が該当しますか。

「事実に相違する」とは、広告に記載されている内容が実際の特定賃貸借契約(マスターリース契約)の内容と異なることを指します。具体的に何が「著しく」に該当するかの判断は、個々の広告の表示に即してなされますが、オーナーとなろうとする者が、広告に記載されていることと事実との相違を知っていれば通常、その特定賃貸借契約に誘引されないと判断される場合は「著しく」に該当し、単に、事実と当該表示との相違することの度合いが大きいことのみで判断されるものではありません。

なお、「著しく事実に相違する表示」であるか否かの判断に当たっては、広告に記載された一つ一つの文言等のみからではなく、表示内容全体からオーナーとなろうとする者が受ける印象・認識により総合的に判断されることとなります。

「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは著しく有利であると人を誤認させるような表示」とはどのような表示が該当しますか。

「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」と認められるものとは、特定賃貸借契約(マスターリース契約)の内容等についての専門的知識や情報を有していないオーナーを誤認させる程度のものを指します。

なお、「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させる表示」であるか否かの判断に当たっては、広告に記載された一つ一つの文言等のみからではなく、表示内容全体からオーナーとなろうとする者が受ける印象・認識により総合的に判断されることとなります。

家賃保証という文言をパンフレット等で使用する場合、全ての文言の隣接する箇所に借地借家法等の点について記載する必要がありますか。

パンフレット等の広告において「家賃保証」「空室保証」など、空室の状況にかかわらず一定期間、一定の家賃を支払うことを約束する旨等の表示を行う場合は、「家賃保証」等の文言に隣接する箇所に、定期的な家賃の見直しがある場合にはその旨及び借地借家法第 32 条の規定により減額されることがあることを明確に表示する必要ありますので、表示がない場合は誇大広告に該当する可能性があります。

なお、表示に当たっては、文字の大きさのバランス、色、背景等から、オーナー等が一体として認識できるよう表示されているかといった点に留意する必要があります。

広告の一環として体験談を記載する場合、隣接する箇所に打消し表示が明瞭に記載されていたとしても、問題のある表示となるおそれがありますか。

体験談を用いる場合は、賃貸住宅経営は、賃貸住宅の立地等の個別の条件が大きな影響を与えるにも関わらず、体験談を含めた表示全体から、「大多数の人が特定賃貸借契約(マスターリース契約)を締結することで同じようなメリットを得ることができる」という認識を抱いてしまうことから、体験談とは異なる賃貸住宅経営の実績となっている事例が一定数存在する場合等には、「個人の感想です。経営実績を保証するものではありません」といった打消し表示が明瞭に記載されていたとしても、問題のある表示となるおそれがあるため、体験談を用いることは、第 28 条違反となる可能性があります。

ホームページやパンフレット等の案内について「賃料保証」という単語を商品名に用いていますが、商品名であっても打消し表示を入れる必要がありますか。

「〇〇保証」など、空室の状況にかかわらず一定期間、一定の家賃を支払うことを約束する旨等の表示を行う場合は、「〇〇保証」等の文言に隣接する箇所に、定期的な家賃の見直しがある場合にはその旨及び借地借家法第 32 条の規定により減額されることがあることを表しておく必要があります。

なお、表示に当たっては、文字の大きさのバランス、色、背景等から、オーナー等が一体として認識できるよう表示されているかに留意することとしておりますが、国土交通省としましては、「〇〇保証」などの表記は打消し表示をしていたとしても、無用な疑義や誤解を招きトラブルに繋がる可能性があることから、表記の修正を推奨しております。

「特定賃貸借契約(マスターリース契約)の相手方又は相手方となろうとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」とはどのようなものが該当しますか。

特定転貸事業者(サブリース業者)がオーナーに支払う家賃の額等の賃貸の条件やその変更に関する事項、特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の内容及び実施方法、契約期間に発生する維持保全、長期修繕等の費用負担に関する事項、契約の更新又は解除に関する事項等、当該事項を告げない、又は事実と違うことを告げることで、相手方等の不利益に直結するものが該当します。

不当勧誘等

「故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」とはどのようなものが該当しますか。

「故意に事実を告げず」とは、事実を認識しているにもかかわらず、あえてこれを告げない行為を指し、「故意に不実のことを告げる行為」とは、事実でないことを認識していながらあえて事実に反することを告げる行為を指します。なお、違反した場合における本法に基づく指示、命令は故意になされた場合に限ります。「故意」とは、行為者の内面の心理状態を示すものですが、客観的事実によって推認され、特定転貸事業者(サブリース業者)であれば当然に知っていると思われる事項を告げないような場合については、「故意」の存在が推認されることになると考えられます。なお、事実の不告知・不実告知にあたるかどうかは、個別事案ごとに客観的に判断されることになります。

「特定賃貸借契約(マスターリース契約)の相手方又は相手方となろうとする者の保護に欠けるもの」とはどのようなものが該当しますか。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)を締結若しくは更新させ、又は特定賃貸借契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、オーナー等を威迫する行為や、特定賃貸借契約の締結又は更新についてオーナー等に迷惑を覚えさせるような時間に電話又は訪問により勧誘する行為などが該当します。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の締結を勧誘するための訪問のアポイント取得時に一度面談を拒絶された場合、再度アポイントを取得することは行政処分の対象になりますか。

電話勧誘又は訪問勧誘などの勧誘方法、自宅又は会社などの勧誘場所の如何にかかわらず、オーナー等が「契約を締結しない旨の意思」を表示した場合には、意思表示後に再度勧誘する行為は禁止され、一度でも再勧誘行為を行えば本法に違反し行政処分等の対象となります。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明書に記載が必要な事項を教えてください。

特定転貸事業者(サブリース業者)が重要事項説明書に記載し、説明する事項及び交付する書面の記載事項は以下を規定しております。

(1)特定賃貸借契約(マスターリース契約)を締結する特定転貸事業者(サブリース業者)の商号、名称又は氏名及び住所
(2)特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅
(3)特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びに   その変更に関する事項
(4)特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法
(5)特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項
(6)特定賃貸借契約の相手方に対する維持保全の実施状況の報告に関する事項
(7)損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
(8)責任及び免責に関する事項
(9)契約期間に関する事項
(10)転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項
(11)転借人に対する(4)の内容の周知に関する事項
(12)特定賃貸借契約の更新及び解除に関する事項
(13)特定賃貸借契約が終了した場合における特定転貸事業者の権利義務の承継に関する事項
(14)借地借家法(平成30年法律第90号)その他特定賃貸借契約に係る法令に関する事項の概要

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の締結時書面に記載が必要な事項を教えてください。

特定転貸事業者(サブリース業者)が契約締結時に交付する書面の記載事項は以下を規定しております。

(1)特定賃貸借契約(マスターリース契約)を締結する特定転貸事業者(サブリース業者)の商号、名称又は氏名及び住所
(2)特定賃貸借契の対象となる賃貸住宅
(3)特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項
(4)特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法
(5)特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項
(6)特定賃貸借契約の相手方に対する維持保全の実施状況の報告に関する事項
(7)損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
(8)責任及び免責に関する事項
(9)契約期間に関する事項
(10)転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項
(11)転借人に対する(4)の内容の周知に関する事項
(12)特定賃貸借契約の更新及び解除に関する事項
(13)特定賃貸借契約が終了した場合における特定転貸事業者の権利義務の承継に関する事項

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明書と締結時書面を一体で交付することは可能ですか。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の締結前の書面(重要事項説明書)と特定賃貸借契約の締結時の書面は交付するタイミングが異なる書面であるため、両書面を一体で交付することはできません。

特定賃貸借契約と管理受託契約を1つの契約として締結する場合、管理受託契約の重要事項説明書と特定賃貸借契約の重要事項説明書を1つの書面にまとめること、及び、管理受託契約の締結時書面と特定賃貸借契約の締結時書面を1つの書面にまとめることは可能ですか。

特定賃貸借契約と管理受託契約を1つの契約として締結する場合、法第13条の規定に基づく書面と法第30条の規定に基づく書面を1つにまとめること、及び、法第14条の規定に基づく書面と法第31条の規定に基づく書面を1つにまとめることは可能です。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明はどのタイミングで行えばよいですか。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)に係る重要事項説明については、特定賃貸借契約(マスターリース契約)の相手方となろうとする者が契約内容とリスク事項を十分に理解した上で契約を締結できるよう、説明から契約締結までに1週間程度の期間をおくことを推奨しております。また、説明から契約締結までの期間を短くせざるを得ない場合には、事前に重要事項説明書等を送付し、重要事項説明書等の送付から一定期間後に、説明を実施するなどして、特定賃貸借契約(マスターリース契約)の相手方となろうとする者が契約締結の判断を行うまでに十分な時間をとることを推奨しております。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明は、アパート等の建物請負契約前(勧誘時など)の段階で行う必要がありますか。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明は、アパート等の建物請負契約前(勧誘時など)の段階で行う必要はありません。しかし、特定転貸事業者(サブリース業者)による借り上げを前提に建設請負契約や土地等の売買契約を締結した後、特定賃貸借契約の判断に影響を及ぼす重要な事項を認識しても、既にその時点で多額の債務が発生している状況となり建設請負契約等の解約を行うことは現実的に困難なものとなります。

そのため、特に、建設業者や不動産業者が、賃貸住宅の建設や土地等の購入等を勧誘する際に特定賃貸借契約の勧誘を行う場合には、特定賃貸借契約のリスクを含めた事実を告知し、勧誘時点でオーナーとなろうとする者が当該契約のリスクを十分に認識できるようにすることが重要となります。その際、特定転貸事業者が重要事項説明の際に使用する特定賃貸借契約を締結する上でのリスク事項を記載した書面を交付して説明することを推奨しております。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明はどのような者が行うことができますか。

特定転貸事業者(サブリース業者)がどのような者に説明をさせなければならないかについて法律上定めはありませんが、重要事項について、正確な情報を適切に説明することで、オーナーとなろうとする者が十分に理解をした上で契約締結の意思決定ができるよう、一定の実務経験を有する者や賃貸不動産経営管理士(一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会の賃貸不動産経営管理士資格制度運営規程に基づく登録を受けている者)など専門的な知識及び経験を有する者が説明を行うことを推奨しております。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明を行う際、資格者証や従業員証の提示は義務づけられていますか。

重要事項説明時における資格者証や従業員証の提示は義務付けられておりません。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明を出向先の社員又は、特定の関係性のある勧誘者等へ委託することはできますか。

重要事項説明は、特定賃貸借契約(マスターリース契約)を締結する特定転貸事業者(サブリース業者)の従業員が行う必要があるため、原則として出向先の社員又は、特定の関係性のある勧誘者等へ重要事項の説明を委託することはできません。一方、特定転貸事業者の使用人としての業務(重要事項説明)を出向元の指揮命令系統に服して行うこととしていることが確認できる「出向先及び出向労働者三者間の取決め」において、出向する者が出向元の重説業務を行い、出向元が指揮命令権を持つと明記されているのであれば可能です。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明を契約の相手方の代理人に行うことは可能ですか。また、代理受任者の制限(親族に限る、業者は不可 等)はありますか。

原則的には、特定賃貸借契約の相手方本人に対して説明を行う必要がありますが、契約の相手方本人の意思により、委任状等をもって代理権を付与された者に対し、重要事項説明を行った場合は当該説明をしたと認められます。しかし、特定転貸事業者(サブリース業者)が特定賃貸借契約の相手方に対して働きかけて契約の相手方にその代理人を紹介して選任させた上、当該代理人に対して当該事項について書面を交付して説明を行ったような例外的な場合には、同条の趣旨に照らし、当該代理人が契約の相手方本人に対して当該説明をしたと評価することができる事情がない限り、特定転貸事業者が「特定賃貸借契約(マスターリース契約)の相手方となろうとする者」に対して当該説明をしたとは認められません。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明はITを用いることは可能ですか。

特定転貸事業者(サブリース業者)は、特定賃貸借契約(マスターリース契約)の相手方となろうとする者の承諾を得て、重要事項説明書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができますが、その際以下の点について留意してください。

①電磁的方法により提供する際の相手方の承諾を得ること
②出力して書面を作成でき、改変が行われていないか確認できる状態にあること。(電子署名等の活用など)③説明者及び重要事項の説明を受けようとする者が、図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること。

相手方からの承諾がある場合、電話やメールによる手段を用いて、特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明を行うことは可能ですか。

新規契約の重要事項説明については、電話やメールによる手段のみでの重要事項説明は認められません。ただし、特定賃貸借契約変更契約(契約更新含む。以下同じ)の重要事項説明については、次に掲げるすべての事項を満たしている場合に限り、電話による説明をもって対面による説明と同様に取扱うものとします。

①事前に特定賃貸借契約変更契約の重要事項説明書等を送付し、その送付から一定期間後に説明を実施するなどして、賃貸人が変更契約締結の判断を行うまでに十分な時間をとること
②賃貸人から特定転貸事業者に対し、電話により特定賃貸借契約変更契約の重要事項説明を行ってほしいとの依頼があること
③賃貸人が、特定賃貸借契約変更契約の重要事項説明書等を確認しながら説明を受けることができる状態にあることについて、特定転貸事業者が重要事項説明を開始する前に確認していること
④賃貸人が、電話による説明をもって当該特定賃貸借契約変更契約の重要事項説明の内容を理解したことについて、特定転貸事業者が重要事項説明を行った後に確認していること

なお、賃貸人から特定転貸事業者に対し、電話により特定賃貸借契約変更契約の重要事項説明を行ってほしいとの依頼があった場合であっても、賃貸人から、対面又はITの活用による説明を希望する旨の申出があったときは、当該方法により説明する必要があります。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明を行う必要がない契約の相手方はどのようなものが該当しますか。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の契約の相手方が特定転貸事業者(サブリース業者)である者その他の特定賃貸借契約に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者である場合、重要事項に係る書面交付及び説明は不要となります。具体的には以下の者が該当します。

  • 特定転貸事業者
  • 賃貸住宅管理業者
  • 宅地建物取引業者
  • 特定目的会社
  • 組合
  • 賃貸住宅に係る信託の受託者
  • 独立行政法人都市再生機構
  • 地方住宅供給公社

契約期間中や契約更新時に特定賃貸借契約の契約内容の変更があった場合、改めて、重要事項説明を行う必要がありますか。

契約期間中や契約更新時に規則第45条各号に掲げる事項を変更しようとするときは、変更のあった事項について、賃貸人に対して書面の交付等を行った上で重要事項説明をする必要があります。

ただし、法施行前に締結された特定賃貸借契約(マスターリース契約)で、法施行後に規則第45条各号に掲げる全ての事項について重要事項説明を行っていない場合は、変更のあった事項のみならず規則第45条各号に掲げる全ての事項について重要事項説明等を行う必要がありますのでご注意ください。

なお、契約の同一性を保ったままで契約期間のみを延長することや、組織運営に変更のない商号又は名称等の変更等、形式的な変更と認められる場合は、重要事項説明等は行わないこととして差し支えありません。

契約期間中や契約更新時に特定賃貸借契約の契約内容の変更があった場合、改めて、契約締結時書面の交付を行う必要がありますか。

契約期間中や契約更新時に規則第45条各号に掲げる事項の変更を内容とする契約を締結したときは、変更のあった事項について、賃貸人に対して契約締結時書面の交付を行う必要があります。

ただし、法施行前に締結された特定賃貸借契約(マスターリース契約)で、法施行後に法31条第1項各号規定の事項及び規則第47条各号規定の全ての事項について契約締結時書面の交付を行っていない場合は、変更のあった事項のみならず法31条第1項各号規定の事項及び規則第47条各号規定の全ての事項について契約締結時書面の交付を行う必要がありますのでご注意ください。

なお、契約の同一性を保ったままで契約期間のみを延長することや、組織運営に変更のない商号又は名称等の変更等、形式的な変更と認められる場合は、契約締結時書面の交付は行わないこととして差し支えありません。

法の施行前に締結された特定賃貸借契約について、契約内容を変更しない場合であっても、法の施行後に改めて重要事項説明及び書面交付、契約締結時書面の交付を行う必要がありますか。

法の施行前に締結された特定賃貸借契約(マスターリース契約)について、契約内容を変更しない限りは、法の施行後に改めて重要事項説明等を行う必要はありません。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の締結後、賃貸物件の賃貸開始前に変更があった場合(引き渡し日や賃貸の開始日、賃料の支払い開始日が変更となった場合)においても、改めて重要事項説明を行う必要はありますか。

個別事案による判断となりますが、契約締結後に変更事由が生じた場合、再度の重要重要事項説明は義務ではありませんが、変更部分を改めて説明した後、契約締結時書面の再交付を行うことが望ましいと考えられます。

一方で、契約期間前の段階で引き渡し日が数ヶ月遅れたることが発覚した場合、賃貸人が得られる家賃収入にも大きな影響があることが見込まれ契約条件の変更とも考えられることから、後のトラブルを未然に防止する観点からも再度の重要事項説明及び契約締結時書面の再交付が必要となります。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の相手方である賃貸人が変わった場合、新しい賃貸人に対して、重要事項説明及び書面交付を行う必要がありますか。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)が締結されている賃貸住宅について、その契約期間中に相続やオーナーチェンジ等によって特定賃貸借契約の相手方である賃貸人が変更された場合には、従前と同一の内容で当該特定賃貸借契約が承継される場合であっても、特定転貸事業者(サブリース業者)は賃貸人の地位の移転を認識した後、遅滞なく、新たな賃貸人に当該特定賃貸借契約の内容が分かる書類を交付することが望ましいです。

転借人(入居者)への維持保全内容の周知について、入居途中に維持保全の内容が変更になった場合、改めて転借人への周知する必要はありますか。

オーナーと特定転貸事業者(サブリース業者)間の特定賃貸借契約(マスターリース契約)において、維持保全の実施方法などに変更があった場合には、変更後の内容について転借人(入居者)へ通知する必要があります。

特定賃貸借契約の契約期間途中において、借地借家法第32条第1項に基づく借賃減額請求権の行使により賃料の減額を請求する場合、賃貸人に対して、当初契約の締結前の重要事項説明と同様の方法により書面の交付等を行った上で説明する必要がありますか。

特定転貸事業者(サブリース業者)が借地借家法第32条第1項に基づく借賃減額請求権を行使しようとするときは、当該請求権の行使の前に、変更(減額)しようとする家賃の額及び当該家賃の設定根拠その他変更事項について、当初契約の締結前の重要事項説明と同様の方法により、賃貸人に対して書面の交付等を行った上で説明する必要があります。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)に係る重要事項説明等の記載方法

マンション等の分譲販売において、特定転貸事業者(サブリース業者)が専有部分のみを管理し、マンション共用部分の管理は当該マンションの管理業者が行う場合、重要事項説明書にはどのように維持保全の実施方法や修繕方法を記載方法すればよいですか。

マンション等の分譲販売の場合、共用部分は管理組合の管理になるため賃貸人の負担となる(管理組合本法規則に準じる)旨記載し説明してください。(費用分担についても同様)

維持保全の実施方法について、重要事項説明書記載例では、委託する場合は、委託欄にチェックするとともに、委託先を明示するような形になっているが、委託先が決定していない場合はどのように記載すればよいですか。

委託先については本法において重要説明事項として規定しているものではないため、重要事項説明時に委託が未定の場合は、「未定」と記載した上で説明し交付することを可としておりますが、委託先の決定後に再交付することを推奨しております。

家賃その他賃貸の条件に関する事項について、家賃の〇%などと記載して説明することは可能ですか。

入居率に応じて特定転貸事業者(サブリース業者)が受領する家賃が変動する場合等、契約の相手方(賃貸人)に対して支払う家賃が一定ではないケースでは、状況に応じて家賃が変動する旨を説明すれば家賃の〇%と記載することは可能です。

既に賃貸人が所有している物件の特定賃貸借契約(マスターリース契約)を行う場合、または、新築物件において引き渡し日が確定していない場合、「引き渡し日」は記載する必要がありますか。

重要事項説明及び契約締結時点で引き渡し日が決定していない場合は、記載は不要ですが未定である旨を必ず説明し、引き渡しが決定した時点で契約の相手方に対しその旨説明し、後日契約締結時書面の再交付を行ってください。

契約期間に関する事項について、契約期間中に特定転貸事業者(サブリース業者)からの解約を禁止する旨を定める場合にもかかわらず、重要事項説明書記載例のとおり、「本契約では、契約期間中においても、当社から解約の申し入れをすることにより、解約をすることができます。」と記載しておく必要はありますか。

特定賃貸借契約において、契約期間内に特定転貸事業者(サブリース業者)からの解約を禁止する(債務不履行等による解約を除く)旨を定める場合には、重要事項説明書記載例(第一面)における「(2)契約期間中においても解約となる場合があります。また、お客様から更新を拒絶される場合は、正当な事由が必要となります。」及び「・本契約では、契約期間中においても、当社から解約の申し入れをすることにより、解約をすることができます。」の部分を、以下の記載例のように修正してください。これとは反対に、契約期間内に特定転貸事業者(サブリース業者)から解約することができる特約を定める場合には、重要事項説明書記載例第一面(2)のとおり必ず記載してください。

○特定賃貸借契約 重要事項説明書
<記載例>
(第一面)(中略)
(2)お客様から更新を拒絶される場合は、正当な事由が必要となります。
・本契約では、契約期間中において、当社からの申入れにより解約(債務不履行等による解約を除きます)することはできない特約を定めています。

特定転貸事業者(サブリース業者)から家賃の減額請求をする予定(そのような実績もない)がない場合であっても、重要事項説明書記載例のとおり、借地借家法の規定を記載する必要がありますか。

契約の相手方に特定賃貸借契約(マスターリース契約)のリスク事項を事前に認知してもらうことが重要事項説明の主眼であるため、特定転貸事業者(サブリース業者)から「家賃の減額請求をするつもりはない」と契約時点で想定している場合においても、借地借家法の規定は強行規定であるため、必ず記載しておく必要があります。

重要事項説明書記載例では借地借家法の規定が複数回にわたり記載されているが、記載例のとおり、各項目毎に説明する必要はありますか。

契約内容等を理解せず誤認したまま特定賃貸借契約(マスターリース契約)を締結することで、家賃減額や契約解除等を巡るトラブルが発生しているという実態があるため、トラブル防止の観点からも契約の相手方(賃貸人)にとってリスク事項となる借地借家法の強行規定については必ず説明する必要があります。

重要事項説明書記載例では記名押印欄がないが、記名押印欄を追記するなど改変した様式を使用して説明を行うことは可能ですか。

本法では契約相手方及び説明者の記名押印を規定していないため、記載例では押印欄を設けておりませんが、個社の判断により必要に応じ任意で押印欄を追加することを妨げるものではありません。

定期借家契約を締結した場合、特約がある場合には借地借家法32条1項(借賃増減請求権)は適用外になりますが、その際の重要事項説明書記載例の一面はどのように記載すればよいですか(本契約は定期借家契約のため借地借家法第32条1項(借賃増減請求権)対象外などと記載する必要はありますか。)。

普通借家契約と異なり定期借家契約の場合、借地借家法第28条の契約解除に係る正当事由制度や、特約がある場合において借地借家法32条1項による借賃増減請求権の適用が排除されますが、契約の相手方(賃貸人)に対しては重要事項説明書記載例の一面の記載のとおり借地借家法の強行規定を説明したうえで、本契約は定期借家契約であるため適用除外となる事項など普通借家契約との違いについて、あわせて説明してください。

特定賃貸借契約重要事項説明書のひな形の第二面の「登録年月日」、「登録番号」及び「業務管理者」の欄について、賃貸住宅管理業の登録を受けていない特定転貸事業者についても、記載する必要がありますか。

賃貸住宅管理業の登録を受けていない特定転貸事業者については、特定賃貸借契約重要事項説明のひな形(「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」別添2)の第二面の「登録年月日」、「登録番号」及び「業務管理者」の欄については記載する必要はありません。(特定賃貸借標準契約書についても同様)

特定賃貸借標準契約書では、中途解約に係る条項の規定がありませんが、中途解約条項を規定した契約書を賃貸人に交付することは可能ですか。

借地借家法第28条の正当事由が少なくとも必要である旨を記載し説明するのであれば、貸主から借主に対して、解約の申入れをすることにより、契約期間中に契約を解約することができることができる「中途解約条項」を追記することは可能です。

書類の閲覧

「特定転貸事業者(サブリース業者)の業務及び財産の状況を記載した書類」とはどのようなものが該当しますか。

規則第48条において、業務状況調書、賃借対照表及び損益計算書、又はこれらに代わる書面としており、「これらに代わる書面」とは、貸借対照表、損益計算書などが包含される有価証券報告書や外資系企業が作成する同旨の書面、又は商法上作成が義務付けられる商業帳簿等が考えられます。

業務状況調書はいつまでに備え置く必要がありますか。

事業年度終了後3月以内に備え置くことしており、例えば、事業年度末が3月31日の場合、前年4月1日~当年3月31日の1年間における契約額などを把握し、同年6月末までに備え置く必要があります。

業務状況調書の各項目はどのように記載すればよいですか。(期間、契約件数、契約戸数)

【特定賃貸借契約(マスターリース契約)の件数 】
事業年度における事業年度末日時点で契約状態にある件数

【契約額】
事業年度期間中に契約の相手方に支払われる額

【契約の相手方の数】
事業年度における事業年度末日時点で契約状態にある数

【契約棟数】
事業年度における事業年度末日時点で契約状態にある数

【契約戸数】
事業年度における事業年度末日時点で契約状態にある数

業務状況調書等は必ず紙面にて公開しておく必要がありますか。

業務状況調書等が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ営業所又は事務所ごとに電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示される状態であれば、必ずしも紙面にて公開しておく必要はありません。

申出制度

申出制度とはどのような制度ですか。

申出制度とは、賃貸住宅管理業法に規定される「誇大広告等の禁止(法第28条)」、「不当な勧誘等の禁止(法第29条)」、「契約締結前の重要事項説明義務(法第30条)」等において、特定転貸事業者(サブリース業者)が行う当該規定の違反行為を行政が逐一把握することは困難を伴うことから、特定賃貸借契約(マスターリース契約)の相手方となる賃貸人等からの意見申出機会を確保することにより、行政が特定転貸事業者(サブリース業者)による違反行為の端緒を把握し、行政に適切な措置を求めることができる制度です。「申出制度」に寄せられた情報について、国が調査を行い、必要に応じ立入検査等を実施し、違反行為があれば監督処分等により厳正に対応します。

申出は誰でも行うことができますか。

本法に基づく申出は、直接の利害関係者に限らず、また、個人、法人、団体を問わず、誰でも申出ができるものです。

申出制度の利用にあたり留意点はありますか。

申出制度は被害の拡大を防ぐための制度であり、トラブルの解決・あっせんを目的とした制度ではありません。そのため、個別のトラブルのご相談につきましては次問に記載する「個別トラブルのご相談連絡先」にご相談ください。また、申出に基づく調査の状況、結果についてはお答えしておりません。

申出制度にて受け付ける事案以外のサブリースに関する個別トラブルの相談はどこにすればよいですか

《賃貸住宅に関するトラブル相談》
●公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会
https://www.jpm.jp/consultation/ 
※賃貸住宅のオーナーに対して、賃貸住宅でのトラブルやお悩みについてアドバイスを行っています。

●公益社団法人 全国賃貸住宅経営者協会連合会(ちんたい協会) 
0120-37-5584 
}※賃貸住宅での一般的なトラブルやお悩みについてアドバイスを行っています。 
※賃貸借契約等の法律に関わるご相談はお受けできません。

《法的トラブルに関する総合案内窓口》
●法テラス・サポートダイヤル 
0570-078374(おなやみなし)
※お問合せ内容に応じて、解決に役立つ法制度や、相談機関・団体などに関する情報を提供しています。

《消費者トラブルに関する総合案内窓口》
●消費者ホットライン 
局番なしの188(いやや!)
※消費者ホットラインは、原則、最寄りの消費生活センター等の消費生活相談窓口などにつながる電話番号です。消費生活センター等に相談できる時間帯は、相談窓口により異なります。
※消費生活センター等では、お問合せ内容に応じて、解決に役立つ法制度や、相談機関・団体などに関する情報を提供しています。
※オーナーが個人であって同種の行為を反復継続的に行っているとはいえない場合には、マスターリース契約 は消費者契約法第2条第3項に規定する消費者契約に該当する場合があり、その際には同法の適用を受ける 可能性があります。

申出書に記載する事項について教えてください。

法令違反の疑いがある場合は、規定様式に下記の内容を記載し申し出ていただきます。
1.申出者の氏名又は名称、住所、電話番号
2.申出に係る事業者の所在地、名称
3.申出の趣旨(具体的事実:誰が、いつ、どこで、いかなる方法で、何をしたか 等)
4.その他参考となる事項(個別のケースにより異なりますが、例えば、被害状況の詳細、広告に用いられた広告媒体、同様の被害を受けた者の証言等を記載することが考えられます。)
5. 申出に係る事業者への氏名又は名称、住所及び申出内容の開示可否

申出書はどこに送付すればよいですか。

下記のメールアドレスに所定の様式に必要事項を記載うえ送付してください。
E-mai:hqt-chintai-moushide@gxb.mlit.go.jp(全国共通のアドレスです)

申出制度の流れについて教えてください。

1.違反行為があった際の国への申出⇒所定の様式に必要事項(申出人の氏名・住所、事業者の名称・所在地、法律違反の具体的な内容等)を記入いただき、上記メールアドレスあて送付ください。
2.国による調査の実施⇒申出書に記載されているような事実があったかどうかについて、情報収集や調査を行います。また、必要に応じて事業者に対して報告書を提出させたり、立入検査を行います。
3.賃貸住宅管理業法に基づく行政処分等の実施⇒違反行為があった場合には、監督処分等により厳正に対応します。

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